Action & Impacts研究

独創的・先進的な研究成果を
社会へ還元し、より良い未来を創る

東洋大学では、重点研究推進プログラムをはじめとする学際的な研究を推進し、多様な社会課題の解決に挑んでいます。基礎研究から応用、社会実装までを一体的に展開し、研究シーズや研究成果を社会に還元。人々の暮らしの質向上や、持続可能で豊かな未来の実現に貢献しています。

多分野の知が交わり
「いのち」の調和を導く

いのち総合研究機構では、あらゆる「いのち」の調和を目指す研究を推進しています。いのちの調和を実現するためには、一つの研究分野の知見だけではなく、多様な領域の知見を融合させることが不可欠です。本機構の起点となるのが、東洋大学重点研究推進プログラム。本学が世界水準の大学へと発展することを目標として、独自の大型研究助成金を用意し、独創的な研究プロジェクトを支援しています。現在進行中の11のプロジェクトの中から、3つの事例を紹介します。

事例1

教育・文学・芸術の可能性をAIで切り拓く

「生成AI・データサイエンスの活用による教育・文学・芸術の革新に向けた研究(2025年度~2027年度)」では、3領域における新たな概念的枠組みの構築に挑みます。教育分野では、神場知成教授らがAIを活用してプログラミング学習のモチベーションを高める研究を行いました。文学分野では、高柳祐子准教授や中村周吾教授がAIによる古典和歌の分類に取り組み、精度を大幅に向上させることに成功。芸術分野では、石川知一准教授らがAIを用いたVR(仮想現実)などの映像コンテンツ制作に注力しています。

教育・文学・芸術の可能性をAIで切り拓く
事例2

学術研究の知見を用いた働き方改革

「生活も仕事も充足して継続できる社会の実現に向けた、職業キャリアの実証研究(2024年度~2026年度)」では、学術研究の成果を活用して東洋大学の教職員が働きやすい環境を実現します。2025年度には、西野理子教授を代表とする研究者らが育児・介護休業や時短制度に関する質的なインタビュー調査を行い、2024年度からの2年間で46名からデータを収集。また、全職員を対象としたWEBアンケート調査に397名が回答したほか、関西大学において比較調査を実施しました。収集した多様なデータをもとに、職場環境の改善を目指した研究を推進していきます。

学術研究の知見を用いた働き方改革
事例3

生物の知恵をものづくりに応用する

「未来を拓くバイオミメティクス(2024年度~2026年度)」では、生物の優れた機能や仕組みなどを、科学・医学・産業などのものづくりに応用しています。合田達郎教授は、生体膜を模倣し、新型コロナウイルスなどを認識する特殊なセンサーを開発。他にも、昆虫の体表面構造にヒントを得た防汚表面構造や、鳥の目に倣った血中酸素飽和度計測カメラなど、多くの研究者がさまざまなものづくりに挑戦しています。さらに、教育面でのバイオミメティクスの普及や、哲学的価値の探究など、文理融合研究も展開しています。

生物の知恵をものづくりに応用する

進行中の東洋大学重点研究プログラム(2026年6月現在)

タイトル 研究代表者
地域未利用資源の活用による地域・自然共生型脱炭素社会システムの設計 村野 昭人
生成AI・データサイエンスの活用による教育・文学・芸術の革新に向けた研究 中村 周吾
福祉社会における新たな価値の創発と支援システムの構築 志村 健一
レジリエントな社会からウェルビーイングな社会へ-ポストSDGs における持続的幸福の追求のために- 松丸 亮
未来を拓くバイオミメティクス 合田 達郎
極限環境微生物で循環型社会を実現し、生活環境を豊かに!~TOYO SDGs Global 2024-2030-2037~ 伊藤 政博
責任ある研究・技術開発に向けた多文化的ELSIの組織化 松浦 和也
生活も仕事も充足して継続できる社会の実現に向けた、職業キャリアの実証研究 西野 理子
後継者の精神的健康とレジリエンス:地域連携を活用した文理融合アプローチによるレジリエンス促進プログラム開発と事業承継支援 山本 聡
東洋大学のブランド力向上のための分野横断型アスリートサポート研究 加藤 和則
生育のdiversityを生むメカニズムの解明とwell-beingな社会の実現に向けた支援体制の構築 児島 伸彦

産官学連携で新たな知を創出し
社会課題に挑む

東洋大学では産官学連携による共同研究を積極的に推進しています。東洋大学・富士通株式会社・尼崎市の三者は、非接触型センサによって計測した心拍数や呼吸数などの生理指標をもとに、騙されている状態を検知する特殊詐欺検知AIを開発してきました。2024年には、高齢者の自宅環境を対象とした実証実験を実施。性格特性に起因する生理指標の変動の個人差を補正する技術を新たに開発したことで、82%の検知精度を実現できました。また、2025年からは朝霞キャンパスの「朝霞研究機器共同利用センター」で学外共同利用を開始。独自性の高い研究を支える約30台の研究機器を、学外研究者・研究機関・企業等に開放しています。センターには機器に精通する研究技術員を配置し、利用のサポートから機器のメンテナンスまでを行います。安心して利用できる環境を整え、さらなる共同研究の発展に貢献します。

特殊詐欺検知AIの実証実験イメージ
特殊詐欺検知AIの実証実験イメージ

柑橘類の研究で発見した
世界初の知見を商品化へ

東洋大学の研究成果は製品として社会に還元され、新たな価値を生み出しています。例えば、柑橘類の果皮に多く含まれる成分「オーラプテン」が熱に対して丈夫な血管の形成を促し、熱中症の予防・軽減・治療に効果的であることを世界で初めて発見しました。この知見を利用し、2025年7月にUHA味覚糖株式会社より「暑払飴(しょばらあめ)」が商品化されました。柑橘類の中でも特にオーラプテンを豊富に含むハッサクに着目。キャンディには和歌山県紀の川市産「紀の川はっさく」のピューレと果皮から抽出したオーラプテンを配合し、熱中症への効果が期待される製品となりました。本商品は東洋大学発ベンチャー企業「株式会社和環」を中心に展開されている産官学連携「ハッサクプロジェクト」の一環として開発されたものです。今後も研究成果を活かし、人々の暮らしに貢献する製品開発を推進していきます。

2026年7月から「塩はっさく飴」として発売されています
2026年7月から「塩はっさく飴」として発売されています

スタートアップ企業の
社会を変える挑戦を力強く後押し

わずか29歳で東洋大学の前身・私立哲学館を創立した井上円了。その志を受け継ぐ東洋大学は、スタートアップ企業やベンチャー企業の創出と成長を支援しています。「他者のために奮闘するスタートアップ」を基本コンセプトに据え、起業を志す段階からビジネスモデル構築に至るまでの初期フェーズに重点を置いた支援環境を構築。この「他者のために奮闘するスタートアップ」創出支援環境構築計画は、東京都の「大学発スタートアップ創出支援事業」に採択され、「JSTスタートアップ・エコシステム共創プログラム」のInland Japan Innovation Ecosystem(IJIE)やGreater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE)といったプラットフォームにも参画しています。さらに、2026年3月にはシーズピッチイベント「TOYO DEMO DAY」を開催。学生や研究者などが自らのアイデアや研究成果を発表し、社会実装へとつなげる場となりました。

TOYO DEMO DAYの様子
TOYO DEMO DAYの様子