Top Messages理事長・
学長メッセージ

中期計画を礎とし、明るい未来の実現に向けて奮闘する東洋大学。
今後のビジョンや注力していく各取り組みについて、安齋理事長・矢口学長に話を伺いました。

未来を哲学する 東洋大学

学生のために
何が最善かを考え続け
持続可能な未来の実現に貢献

from Chairperson

Anzai Takashi
学校法人東洋大学 理事長 安齋 隆
学校法人東洋大学 理事長安齋 隆

Profile

1941年生まれ。東北大学法学部卒業。日本銀行、(株)日本長期信用銀行(現・(株)新生銀行)頭取、(株)アイワイバンク銀行(現・(株)セブン銀行)社長などを経て、2009年12月学校法人東洋大学理事に就任し、2018年12月から現職。

歴史の転換点に立つ世界で
私たちが向き合うべき課題

世界は今、激動のただ中にあります。人類は、数百年に一度とも言える歴史的な転換点に立っているのではないでしょうか。そう感じさせる出来事が、地球規模で同時に起こっています。とりわけ深刻なのが、近年頻発する異常気象です。地球温暖化に起因する事象を実感しています。2025年、世界平均気温は過去最高水準に迫る高温を記録しました。産業革命前からの気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定での国際目標の達成は、ますます厳しさを増しています。この状況を受け、各国は2050年までのカーボンニュートラル、すなわち温室効果ガス排出実質ゼロの実現を掲げ、エネルギー政策の大きな転換を進めています。化石燃料からの脱却を図り、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入を拡大するとともに、原子力発電の活用を見直す動きも見られます。

一方で、人類は新たな課題にも直面しています。AIやDXに象徴されるデジタル革命の進展が、電力需要を大幅に押し上げているという現実です。AIは今や、私たちの生活に欠かせない存在になりました。しかし、それらを支えるシステムの稼働には莫大なエネルギーが必要です。デジタル化が進めば進むほど電力需要は増加し続けるでしょう。この流れは避けることができず、環境負荷を抑えながら持続的に発展していくという、極めて難しい課題に向き合わなければいけません。

また、世界の政治情勢は不安定さを増しています。強権的な指導者の台頭により国際秩序が揺らぎ、対立は各地で深まるばかりです。ロシアによるウクライナ侵攻や中東地域における戦闘の激化など、いずれも当事国の判断が国際社会全体に重大な影響を及ぼしています。こうした背景には、民主主義の根幹であるチェック・アンド・バランスが十分に機能していない現実があると考えられます。権力を抑制し、多様な意見を反映する仕組みが弱まれば、社会は容易に均衡を失います。このような状況において、自由民主主義の価値そのものも問われています。分断や対立が深まる中で、日本に生きる私たちは他国の出来事を対岸の火事として捉えるのではなく、そこから自らの社会の在り方を見つめ直す必要があります。

理事長・学長メッセージ

時代の変化にしなやかに対応し
未来を生き抜く力を持った
学生
を育てる

現代のような混沌とした社会の中で、大学が果たすべき使命は何か。私は、その根幹に「学生への奉仕」があると考えています。大学における学生の存在は、企業でいえば顧客にあたります。したがって、大学は学生一人ひとりに質の高い学びを提供することを第一の責務とせねばなりません。ただし、学びとは単に知識を暗記し、試験で成果を上げることではありません。AIに問いを投げかければ瞬時に答えが返ってくる時代において、人間に求められる役割は大きく変わりつつあります。これからの社会で重要となるのは、既存の答えを受け取る力ではなく、自ら問いを立てる力です。AIに依存するのではなく、自分自身の頭で考え、課題を見つけ、本質を見極め、解決への道筋を描く力が求められます。主体的に思考し、判断し、行動する力こそが、これからの時代を生き抜く基盤となるのです。大学は、その力を育む場でなければなりません。多様な知識や価値観に触れ、議論を重ね、時には失敗を経験しながら、自らの考えを深めていく。その過程を通じて、学生は未来を生き抜く力を身につけていきます。私は、学生の皆さんに東洋大学でそのような力をしっかりと養っていただきたいと考えています。

また、学生への奉仕とは、学業面にとどまるものではありません。重要なのは、卒業後の人生において、大学での経験がどのように生きるかです。「東洋大学で学んでよかった」「在学時の経験が今の自分を支えている」と実感していただくこと。それこそが、大学教育の真の価値であり、私が目指す姿です。その実現のために、私自身もまた、安易な道を選ばないことを信条としています。自らの利益のためではなく、常に学生のために何が最善かを考え続ける。その姿勢を貫くことが、大学の信頼を支えることにつながります。

いま、私たちは「予測が難しい時代」を生きています。かつて有効であった方法や価値観が、これからも通用するとは限りません。変化に対応できない者は、やがて淘汰されていく可能性があります。しかし一方で、この不確実性は新たな可能性でもあります。変化を恐れず挑戦する者にとって、今ほど大きな飛躍の機会に恵まれた時代はありません。だからこそ学生には、未来に真摯に向き合い、主体的に社会を変えていく存在になってほしいと願っています。東洋大学もまた、時代に即した変化を続けていきます。これからの時代に求められるのは、単なる成長ではなく、持続可能な変化です。自然環境と調和しながら、いかにして社会の豊かさを実現するか。エネルギーの在り方や消費の仕組みを見直し、社会全体の価値観を更新していく必要があります。東洋大学はこれからも変化を恐れず挑戦する若者を育み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

理事長・学長メッセージ
理事長・学長メッセージ

「人間」を問い続ける
哲学の学びが社会を
動かし、未来を拓く

from President

Yaguchi Etsuko
東洋大学 学長 矢口 悦子
東洋大学 学長矢口 悦子

Profile

1956年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科(博士課程)単位取得満期退学。博士(人文科学)。専門分野は社会教育学・生涯学習論。複数大学の非常勤講師および他大学教授を経て、2003年4月から東洋大学文学部教授。文学部長などを歴任し、2020年4月から現職。

一人ひとりの学びの旅へと導く
東洋大学の新たな挑戦

世界各地で相次ぐ戦争や、AIをはじめとする技術革命……。価値観や社会構造が大きく揺らぐ現代社会において、大学で学ぶ意義はこれまで以上に高まっています。学問に専念できる時間が与えられていることは、決して当たり前ではなく、かけがえのない機会です。だからこそ、学生の皆さんには、東洋大学で幅広い知識と多様な価値観に触れ、一人ひとりのLearning Journey(学びの旅)を設計してほしいと考えています。

そうした思いのもと、2025年よりスタートした取り組みが「総合知」教育です。全14学部・約600の専門科目を、学部やキャンパスの垣根を超えて自由に履修できるようになりました。高度な専門性を備えた教員の授業を通して、新たな発見や発想を育みます。自身の専攻とは異なる領域に触れることで生まれる“化学反応”により、これまで培ってきた知識同士が結び付き、自分だけの「総合知」へと昇華していくことでしょう。

また、2026年からは新たな学年暦「13+2」を導入しました。オンライン授業併用等の工夫によって、通常授業期間を従来の15週間から13週間へと改め、13回の通常授業と2回分のオンデマンド授業や学外での演習等を実施することで15回分を提供します。8月から9月末までの2カ月間を「夏セッション」として確保し、例えば学生が海外研修やフィールドワーク、部活動などに主体的に取り組む時間を創出します。授業で学んだことを実社会でアウトプットする。ひとり旅で自分自身と向き合う。汗を流しながら誰かの力になる。学生にはこうしたリアルな体験を積み重ね、心身ともに大きく成長してほしいと考えます。そしてその経験が授業の学びと融合することで、より深く本質的な「総合知」として形成されていくのです。

学生だけでなく、教員も分野を超えたコラボレーションに積極的に取り組んでいます。「東洋大学いのち総合研究機構」では、重点研究推進プログラムを起点として「いのち」の調和を目指す研究を組織的に支援。生命科学や社会科学、人文科学など多様な分野の研究者が協働し、それぞれの「いのち」への関わり方を共有することで、新たな理解や解釈がより豊かに広がっていきます。

さらに、2027年4月には環境イノベーション学部の開設を予定しています。この学部では、企業やNPO、研究機関、地域社会と連携し、現場と大学を往還する学びを重視します。学生は実社会の課題に直接触れながら、それを理論的に分析し、解決策を構想する力を養います。ここでいう「イノベーション」とは、単なる技術革新ではありません。人々の心構えや行動を大きく変えていくことにこそ、本質があります。環境問題を自分ごとと捉え、主体的に関わる意識を育む。そして人々の意識を変化させるアクションを起こすことが社会を変える第一歩となるのです。

理事長・学長メッセージ

対話から生まれる新しい学び
すべての学生に知の扉を開く

日本は現在、急速な人口減少という大きな課題に直面しています。その解決のために、本学で学んだ学生たちがそれぞれの立場から地域社会に新たな価値をもたらし、人口減少の中にあっても豊かさを創出していく存在となることを願っています。課題を正面から見据え、社会のために主体的に行動できる学生を育てることが本学の使命であり、その具体的な実践が全国各地を舞台とした社会貢献や地域活動の取り組みです。大学の所在地域に限定せず、学生の故郷や教員の研究拠点、震災で被災した地域など、さまざまな縁を結んだ場所で取り組みを展開しています。「他者のために自己を磨く」「活動の中で奮闘する」という「東洋大学の心」を持った学生たちが、自ら選んだ場所において、現実の課題に真摯に向き合い続けているのです。

また、AIの進展も現代社会における重要な課題の一つです。AIの台頭によって飛躍的に技術革新が進みましたが、AIはあくまで道具であり、それ自体を恐れる必要はないでしょう。なぜなら、最終的に何を成し遂げるのか考えるのは、私たち人間にほかならないからです。そこで重要になるのが、本質を見極める力。「自分が本当に求めているものは何か」を理解できれば、AIの力を借りながら、自らの目指すゴールへとたどり着き、幸せを実感できます。若者の中には、まだ自分の目標や幸せの形が見えていない人もいるかもしれません。しかし、「誰かを喜ばせることができた」「困っている人を助けられた」といった経験の積み重ねが、自らの価値観や幸福感を形作っていきます。学生には本学での学びによって心が震えるような経験を積み、自他の幸福、ひいては社会の進むべき方向を見極める力を養ってもらいたいですね。

本学は「諸学の基礎は哲学にあり」という建学の精神に基づき、哲学を基盤とした教育を通して本質を見極める力を持った学生を育成してきました。哲学とは、容易に答えの出ない問いに対して、粘り強く、深く考える営みであり、人間にしか成し得ないものです。明確な解のない課題に向き合い続ける姿勢こそが、人間としての気高さを形作ります。だからこそ、本学では多様な機会を通して、学生一人ひとりが「人間とは何か」という根源的な問いに向き合い、人間であることの喜びを実感できる場を育んでいきます。授業はもちろん、課外活動や社会との関わりの中で、さまざまな感情を伴いながら自分の言葉で語り合い、相手の想いに耳を傾ける。そうした交流や共同の学びの積み重ねによって、学生には人間として生きることの面白さや奥深さを実感してほしいと思います。そうした経験こそが、自らの未来を切り拓く力につながっていくはずです。

理事長・学長メッセージ
Toyo University