機械工学科

暮らしを支えるものづくりの理論×実践。

理数教育研究室(大辻永 教授)

中等理数教育を中核とするSTEM教育を越えた全人教育を目指す実践家養成

STEAMは科学、技術、工学、芸術、数学の頭文字をとった略語で(Artを含めない場合も多いです)、STEAM Educationは、理工系科目を教科横断的に扱おうとする新しい教育運動です(わが国では広がりを見せていませんが)。2016(平成28)年にスタートした本研究室は、機械工学科に属する4年生で教職希望者のみ配属を許される、少数精鋭の研究室です(3年秋学期より仮配属もあります)。

科学的知識・技能をただ効率的に教授する手だてを追究するのではなく、「人格の完成」の一端を担う理数教育の位置づけを常に念頭に置いています。元々「モノ」への感受性の強い学生が、「ヒト」へのまなざしに目覚め、自覚し研究をしています。そして、反省的実践者となって、中等理数科教員として巣立ちます。

卒業研究のテーマは、それぞれの学生の興味にあわせています。例えば初年度は、①黄金比について、数学、芸術、人間工学から掘り下げ、折り紙などを使った教育実践まで開発・実践・評価するもの、②専門とするサッカーのスコアをデータ化し、統計的手法を用いて戦略データを提供する分析手法を開発するもの、③フレーベルの恩物をヒントに、数学的感覚を研ぎ澄ますための幼児体験教材の開発、④高等学校数学の教科書を徹底的に吟味しようとするもの、⑤義務教育学校や中等教育学校など新しい「1条校」での算数・数学の系統的教材の在り方を研究するもの、⑥非常時にこそ試される「生きる力」の在り方を探るもの、⑦抵抗のない平面を作成し、等速直線運動など物理学の初歩で扱う現象を再現しようとするものなど様々です。

ゼミは、学部・学科や学年の壁を超えて参加可能としています。学生の多様な興味にあわせるため、指導教員は幅広いアプローチが求められ、少々苦労していますが、向学心に燃えた若い学生のエネルギーをいただきながら、「俱学俱進」で共に歩んでいます。

STEAM is the acronym which stands for Science, Technology, Engineering, Art, and Mathematics. All members of this lab apply the multi-dimensional approach for each research interests, such as (1) Focusing on the golden ratio in terms of mathematics, art, or ergonomics, and developing its educational material using Origami, (2) Developing a succor football analytical system based on the score data, (3) Based on the Froebel Gifts, developing a series of experiential activities which enhance infants mathematical sense, (4) Searching for the curriculum of senior secondary math, (5) In response to the newly established compulsory school (2016-), reconstructing the systematic orders of teaching materials of mathematics education, (6) Focusing of the “Zest for Living”which shall be effective in the urgent situation, and (7) Building up a resistance-free plane, the reproductive trial of the linear motion in the introduction of mechanics. Anybody who has the interest in this field is welcome to participate in our seminar.

この研究室を希望する方へ

他者のために自らを役立てたいという強い思いを持ち、そのことを生き甲斐に思えること。その手段として中等理数教育を認識し、不断の努力によって自らの実践を改善していくことを厭わないこと。