生命科学科

いのちのしくみと、いのちを育む環境を科学する

水環境生態工学研究室(清水和哉 教授)

微生物(微小動物および細菌)による環境修復機能の理解と環境修復技術の工学的利用

水や水環境は、様々な分野に関わるクロスメディアです。このため、本研究室では、生態系やヒト活動にも健全な水環境の実現に貢献するべく研究をしています。

ヒトが使用できる淡水量は、地球に存在する水資源のおよそ0.0003%といわれています。淡水資源の持続的利用には、十分量の淡水資源の確保と水質の保全、安価かつ安定な浄水・下水処理技術が必要です。近現代の工業や化学肥料を用いた農業の発展に伴い、環境に様々な汚染物質、とくに窒素やリンが水域に排出されたために水域の富栄養化が世界中で進行しています。そのため、富栄養化した水域において水面を緑色に呈する程度(アオコ)まで植物プランクトン(藍藻類や藻類)が極端に増殖し、「水の利用が困難」という状況が世界各地でおきています。このため現場での水質保全対策のみならず、「いつでも・どこでも・だれでも」利用できる安価かつ安定な浄水・下水処理技術方法の構築が求められています。また、水環境における抗生物質等の薬剤耐性菌の問題では、薬剤耐性菌の出現を防ぐシステムや環境における薬剤耐性菌の出現メカニズムの解明が求められており、取り組んでいます。加えて、気候変動への賢い適応が求められる今、有機系廃棄物等の廃棄物を原料としたバイオエネルギー生産も微生物を用いて取り組んでいます。具体的には、微生物生態系や有用微生物に焦点をあて、微生物の機能と動態、微生物機能の制御メカニズム、微生物間の共生関係が生み出す有用な機能やそのメカニズムを解明する研究を展開しています。研究は、室内と現場レベルの両方を対象としています。これらのレベルでは、純粋培養実験や複合培養実験、環境モニタリング、生物学的水処理装置の特性解析(図1)などを実施しています。研究成果は、微生物を利用したシステムの高安定化、高効率化、適用範囲の拡大を実現の一助に貢献できます。

浮上型水圏浄化装置

この研究室を希望する方へ

卒業研究および大学院生における研究は、研究に着手するまでに講義で学んだことや様々な体験で学んだことを活用しながら実施します。つまり、研究活動を通して情報収集・分析力、問題発見・解決力、発表力、会話力、文章作成力が鍛えられます。したがって、研究成果のみならず、自身の実力を伸ばしていく気持ちを持ち続け、就職後も継続的に成長していける人材となれる土台を築くことを意識してください。

「夢が希望を、希望が勇気を、勇気が夢を実現する。」、夢は叶えるものではなく目標です。苦しい時期は、成長している時期です。常に思考し、行動してください。

「水」は、多くの産業(農水産業、工業など)で用いられるため、重要な資源です。浄水処理や下水処理のみならず、気候変動を見据えたバイオエネルギー生産など微生物を利用した環境ビジネスは国内外での重要な成長分野です。水・バイオエネルギー分野に関心があれば、水環境生態工学研究室で一緒に研究しませんか。