企業法の中核となる「会社法」は1000条の条文から成り立ち、会社はどのようなものであるかについて、法的側面から見ていきます。「会社」は、1600年代の東インド会社が起源であると言われます。当時のヨーロッパ諸国は、香辛料やお茶を求めてアジアに向けて大航海をし、植民地を展開してきました。しかし、途中で海賊や天候などによって事業に失敗してしまうと、個人がリスクを背負うことになります。そのリスクを回避するために、銀行から個人でお金を借り入れるのではなく、株式を売って、事業に賛同してくれる人から資金を集める方法が取られました。そして、その資金を元手に事業を行い、うまくいけば配当することが考え出されました。それが「会社法」であり、私たちの経済活動を円滑に行うために編み出された「人間の知恵の結晶」とも言えます。日本では明治時代に初めて、坂本龍馬が「亀山社中」と言われる貿易会社を作り、薩長同盟を通じて、薩摩と長州が貿易で「Win-Win」となる関係を構築させました。会社は、法律的には株主が所有者ですが、代表取締役や監査役、株主総会など、会社に関わるさまざまな機関構成からなり、数多く存在する株主の利害を調整していかなければなりません。「会社法」とは、会社の利害関係者の利害調整を行う法律です。会社法を学ぶことで、組織の運営、さらには企業不祥事などをどのように抑制するのかを学んでいきます。みなさんも、会社についての学びを深め、会社というフィルターを通して人間社会における「ものの見方や考え方」を広げていきましょう。

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井上 貴也教授法学部 企業法学科

  • 専門:商法、会社法
  • 掲載内容は、取材当時のものです