「社会あるところに法あり」ということわざがあります。複数の人間が集まる「社会」で秩序がなかったら、万人の万人に対する戦いがおき、連続した恐怖状態になってしまいます。そこには必ずルールが必要で、こうしたあらゆるルールを法と考えます。日常生活の中で、法と接触する機会はたくさんありますが、法学という学問は、生活に実行力を持つ法の解釈を学ぶ「実定法学」と、それについて考察し、研究する分野の「基礎法学」に分けられます。目に見える実定法学を、内面で基礎法学が支えていると言えるでしょう。そして、その内面や思想の変化を研究するのが法思想史です。古代ギリシャの時代から、人々は法について、正義がなければ力はただの暴力に、力がなければ正義はただ無力になってしまう、両方を持つことで秩序が保たれる、としてきました。また正義の思想について、動物や自然は人間のためにある、といった人間中心の考え方をし、同じ人間同士でも、奴隷として使われるべき人を奴隷とすることは正義だとさえ考えられていました。これは、現代では到底受け入れがたい思想です。思想家だけでなく、私たちの反省も含まれ、歴史を経て思想は変化して来たのです。日本の法体系は、日本の民法典の起草者たちの多くが西洋法を学んでいるため、西洋にルーツを持ちます。そのため、私たちは西洋法学を学ぶ必要もあるでしょう。法思想史を学び歴史を知ることで、さらに深く考える力を身につけましょう。

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周 圓准教授法学部 法律学科

  • 専門:西洋法制史、法思想史
  • 掲載内容は、取材当時のものです