法律学科

論理的思考力と法的にバランスのとれた問題解決能力を身につける。

法律学科では、法治国家において当然に求められる法的知識と、それを現実問題に活用するためのリーガルマインドを習得し、社会で不断に生起する諸問題について、自らの頭で考えて、法に基づいて解決することができる人材の養成を目的としています。
また、グローバル社会において生じる諸問題は、国境を越えた対処が求められ、法律問題についても、外国語で対応することが求められます。法律学科では、外国語で法律問題に対応できる人材の育成も目的としています。

学問の魅力

社会を変えていく力の源になる

社会あるところ法あり――人が社会を作り、その中で生きていくためにはルールが必要不可欠です。法はその社会規範のひとつであり、「法を学ぶことは、すなわち、社会を学ぶことである」といえます。法律学科では、「法的なものの考え方=リーガルマインド」を身につけることで、現代社会が抱える問題を発見し、多角的に分析し、法的にバランスの取れた解決策を導き、論理的に提示する能力を身につけることができます。

学び方

基本六法を中心に、様々な法分野を体系的に学ぶ

法は社会生活を広くカバーしており、法律学科で学ぶ分野は多岐にわたります。しかし、すべての法令について学ぶことは現実的ではありません。法律学科では、まず憲法・民法などの基本六法の知識を身に付けることを目指します。それを通じて、法的なものの考え方が身に付き、諸問題を冷静かつ客観的に分析し、論理的で説得力のある解決策を導く力を養います。このように法学の基礎をしっかりと身に付けた後に、様々な法分野について体系的に学ぶことができるようにカリキュラムを構成しています。

グローバル化への対応

法律学科では、グローバル社会に対応できる能力を身に付けるため、「英米法」「ドイツ法」「フランス法」「EU法」など、諸外国の法制度・運用を学ぶことができる授業を置いています。また、「国際法」「国際私法」「国際経済法」など、国境を生じて生じる法的問題を学ぶ授業も充実させています。
「国際法」「国際政治学」「国際関係論」「平和学」「知的財産法」などでは、英語で授業を行い、国家を超えて世界のレベルで法的問題に対応できる能力を身に付けられるようにしています。

4年間の学び

新しい社会を拓くために、柔軟な思考を身に付ける

法律学科では、基礎から応用への学びを進められるように体系的なカリキュラムを用意しています。
1年次には「法学入門」で法学の基礎をしっかりと身に付けつつ、「憲法Ⅰ」「民法Ⅰ(総則)」「刑法Ⅰ(総論)」を履修します。また、全員が少人数で学ぶ法学基礎演習(ゼミナール)を置き、高校から大学の橋渡しとしての役割をもたせて、法学部生が法学を学ぶ最初の一歩を大切にしています。
2022年度から特殊講義「専門科目への扉」というオムニバス形式の講義を開講し、専門教育への導入科目をさらに充実させています。
2年次以降は、より専門的な法分野を学んでいきます。法律専門科目はもちろんですが、さらに政治学や経済学など法学の隣接分野についても多彩な科目を用意し、個々の学生の問題関心や進路に合わせて学びを広げていくことができるようにしています。専門科目を更に深く学ぶために、2年生向けに法学演習・専門基礎演習、3・4年生向けに専門演習というゼミナール科目を置き、少人数での専門教育に力を注いでいます。
法律学科で学ぶ内容は、どれも広く社会に関連しており、法曹(裁判官・検察官・弁護士)、司法書士や行政書士など法律関係の国家資格取得に直結することはもちろん、公務員でも民間企業でも様々な業種・分野で活躍する人材育成が期待できます。個々の学生の希望進路に対応した履修モデルを設け、それにそって学ぶことで、社会で必要とされる力を身に付けることを目指します。

カリキュラムの特徴

3つの履修モデル

法律学科で習得する法的知識や法的思考力は、社会の様々な分野で必要とされ、卒業生が活躍している場面も多種多様です。法律学科卒業生の進路は広く開かれているといえますが、その反面、法学は大学で初めて出会う学問でもあるため、自身の将来の進路のためにどのような科目を履修すれば良いか分からないと悩む学生も少なくありません。そこで、法律学科では、学生の進路に合わせて科目を体系化した3つの履修モデルを設け、効率よく履修する手助けとしています。
以下の履修モデルは、自身の希望する進路に必要な知識・科目を分かりやすくするガイドラインです。履修モデルを選択した後に、希望進路が変わったとしても、柔軟に他の履修モデルに変更することも可能です。

履修モデルの内容

法律学科では、(1)法律専門職モデル、(2)政治・政策モデル、(3)公務員モデル、の3つの履修モデルを用意しています。それぞれの履修モデルが想定している進路は次の通りです。

  1. 法律専門職モデル…法曹になるための法科大学院への進学、司法書士・行政書士などの法律系資格取得など
  2. 政治・政策モデル…衆議院・参議院・地方議会の議員・職員・秘書、NGO、NPO、マスコミなど
  3. 公務員モデル…中央官庁で働く国家公務員、県庁・市役所などで働く地方公務員、警察官など

各履修モデルには、卒業後の進路で必要な基盤教育科目と専門科目が配置されており、学生の皆さんが効率よく体系的に科目を選択し、学べる工夫がなされています。

学びの取り組み

語学教育の充実

法律学科ではグローバル社会に対応できる人材を育成するため、語学教育にも力を入れています。
1年次には英語を必修科目として履修します。さらに、初修外国語としてドイツ語・フランス語・中国語の中から1科目を選択して履修します。英語については、入学時にクラス分け試験を実施し、その結果に応じて習熟度別にクラスが編成されます。たとえ習熟度が低いクラスでも、3年次以降の就職活動を見据えたレベルに到達できるように目標設定をします。
より習熟度の高い学生を対象に、法学部独自のGLP(法学部グローバルリーダー育成プログラム)も用意しています。これは、法学部卒業生としての法的素養と国際社会で活躍できる語学・キャリア力を兼ね備えたグローバル人材の育成を目指す、発展的な語学やキャリア教育を行う法学部独自の特別プログラムで、英語のネイティブスピーカー教員が担任(ファカルティアドバイザー)としてサポートします。

海外研修プログラム

夏季休暇中に、イギリス・ロンドン大学で英語音声学セミナーを実施しています。これは、英語の発声について理解を深め、発音やリスニングの向上を目的とする2週間の集中コースです。ロンドン大学内で講義・実習に参加した上で、授業後は、本学法学部専任教員が補習を行ない、日本語で当日の授業について解説し、翌日の授業の概要を説明、さらに課題への取り組み方についてもアドバイスするなど、学習効果を高めるために徹底的にサポートします。
春季休暇中にドイツ語の語学研修として、ドイツ・バイロイト大学での語学セミナーも実施しています。滞在期間中は、ドイツ語の授業はもちろん、授業後にはセミナー・チューターとのサッカー観戦、博物館・美術館見学、オペラやバレエ鑑賞など、様々なプログラムが用意されています。全期間ホームステイを予定しており、ドイツの生活を直接体験できます。
上記2つの語学研修のほか、法学部で開講している平和学と国際関係学の授業の発展的なコースとして春期休暇中にノルウェー・トロムソにて平和学研修を行っています。この研修では法学部と包括的学術交流を結んでいるトロムソ大学にて英語を使用した平和学集中講義を実施しています。北極圏の自然環境、文化、社会を体験しながら、教育、社会発展、平和の関係について学習します。また、学習は英語を用いて行われるため、英語能力のさらなる向上が期待されます。

ゼミ活動

法学部は少人数教育を柱の一つとし、その一環としてゼミにも力を入れています。ゼミとは「ゼミナール」の略語で、少人数クラスで、教員の指導のもとに特定の分野について研究し、報告・討論する授業を意味します。ゼミは、これまで学んできた講義の内容や、これから学ぶ分野のことを、より深く専門的に学ぶ良い機会になっています。
ゼミ活動の一環として、毎年「ゼミ対抗発表会」を実施しています。この発表会は、法学部の有志ゼミが日頃のゼミ活動や発表の様子をわかりやすく披露し、プレゼンテーションを競い合うイベントです。この発表会では一度に複数のゼミの発表を見学することができるため、ゼミを選択する際の参考にすることができます。

法律討論会

毎年秋学期に、全学年の法学部生を対象にした「法学部長杯争奪法律討論会」を開催しています。この討論会では、憲法・民法・刑法から年度毎に順番に課題が出され、その課題について参加者が立論をして、聴講している学生からの質問に答えるという形式で行なわれます。立論者と質問者の間での真剣で白熱した討論は、日頃の学習成果の現われです。「立論の部」「質問の部」のそれぞれについて法学部教員が審査をして、上位3位の学生を表彰します。広い会場で多くの学生の前で討論を経験することは、他の授業とは一味違う実践力を養う貴重な機会です。

模擬裁判

大学祭(白山キャンパス)において「模擬裁判」を実施しています。法学部専任教員の監修のもと、シナリオ作りから上演に至るまでを学生主体で取り組みます。裁判官・検察官・弁護人はもちろん、被告人や証人、裁判員などの裁判に関わる登場人物を演じるのもすべて学生です。大学祭の来場者に広く傍聴してもらうように、身近に起こりそうな事件を題材にして、裁判員裁判の形式で行います。
法学部生を中心にした法律系サークルもあり、そこでは勉強会や合宿が開かれ、学生同士で勉強を教え合い、切磋琢磨しています。多くの学生と知り合える場であり、共に勉強する仲間はもちろん、充実した学生生活を送る良い友人を作る場となっています。

東洋大学無料法律相談部の活動

法学部の附置機関として、東洋大学無料法律相談部があります。法学部で学んだ法律の知識を活かし、法律を用いた社会貢献を行うことをその目的・使命としています。主な活動としては、定期的に埼玉県朝霞市において、市民の方々に向けた法律相談(土地取引や遺産相続等に関する民法分野)を行っています。このサークルに所属する学生は、法学部の専任教員の指導のもと、日頃から学習会に参加し、相談内容に的確な判断が下せるように努力しています。
東洋大学無料法律相談部は、関東学生法律相談部連合会に加盟し、年2回の定例会議として各大学の活動報告や合同学習会・模擬相談会等も実施しています。