骨粗鬆症は、寝たきり状態をもたらす脳卒中に次ぐ第2位の疾患で、高齢化が進むわが国の重要な健康問題のひとつです。骨は周りが固い皮質骨になっています。その内側の骨は、いろいろな力が加わったとき、力が一点に集中しないよう、スポンジ状になっており、うまく周りの骨に力を分散する働きをしています。皮質骨の内側と外側は層板構造になっていて、その内側には小さなバームクーヘン状の構造物がたくさん詰まっています。層板ごとに線維の配列が違い、どの方向からの力にも抵抗できるため、骨の強度は強いのです。骨には、作る細胞と壊す細胞があり、両者が常に作っては壊しを繰り返し、新陳代謝を行って常に新しく丈夫な状態を保ちますが、年をとると、壊す量の方が多くなるため骨粗鬆症になりやすくなります。つまり、高齢化が進めば進むほど、骨の弱い人が増えるのです。そのため、転倒した際に手をついて骨折をしたり、背伸びをしただけでろっ骨が折れたり、椎骨がつぶれて腰が曲がってしまったりする人が増えます。特に大腿骨頸部骨折などの場合、リハビリの辛さから寝たきりを選択してしまう高齢者もいるのです。健康な骨を維持するには、発育期の子供はもちろんですが、高齢になると吸収率が減るため、骨に必要なカルシウムを多く含む食品をたくさん摂取し、ハードなものではなくても、適度な運動をするといったことを継続して実践することが大切です。

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大迫 正文教授健康スポーツ科学部 健康スポーツ科学科

  • 専門:解剖学
  • 掲載内容は、取材当時のものです