近年、幼稚園教諭や保育者、福祉関係者として「外国にルーツをもつ子ども」と出会うことが増えていると感じています。「外国にルーツをもつ子ども」とは、両親が外国生まれ、あるいはルーツをもつ子ども、国際結婚により父母のいずれかが外国人の子どもです。彼らは日本で生活するにあたり、さまざまな不安や壁を抱えています。例えば子どもが病気になった時、どこに電話をしたらいいのか、どうやって受診予約したらいいのか、症状を説明できるかなど、一つ一つが高い壁となっているのです。特に生活習慣の違いは宗教の違いに基づいているものが多く、食べ物や行事、身に付けるものにより日本で共存していくのに難しいということがあります。また、言葉の壁やジェンダー問題など、先入観をもたれてしまう場合もあります。このような壁が社会とのつながりの薄さとなり、孤立や経済面での貧困、人間関係や教育の貧困となっています。しかし、自国在住者は彼らの不利や困難に気付かないことも多いのが現状です。だからこそ、保育者や教育者を目指す私たちには、彼らが感じる葛藤などの心理的な側面への配慮が必要です。そして、その教育者の姿勢が子どもたちに伝わることで、多様性を理解する力を育て、人の多様性を見た時に、個性として受け入れられるようになるのです。今後日本は、特に若い世代で、グローバル社会の中での多様な価値観や、文化と共存しながら生きていく必要があります。だからこそ幼児教育、保育、福祉の現場からそういった文化を作っていくことが大事だと考えます。

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南野 奈津子教授ライフデザイン学部 生活支援学科 子ども支援学専攻

  • 専門:児童福祉、児童・家庭ソーシャルワーク、多文化ソーシャルワーク
  • 掲載内容は、取材当時のものです