法人税は法人税法によって定められており、法人所得に対して課せられる税金です。また会社は、会社法によって当期純利益(もうけ)等を計算するために、正確な会計帳簿の作成が義務付けられているため、簿記(企業会計)が必要となります。法人税額は所得×税率(23.2%)、所得の計算は、企業会計が(収益-費用)を利益とし、法人税法では(益金-損金)が所得とされます。利益と所得の違いを調整するために、企業会計で確定した利益に基づいて税務調整を行っていくプロセスを「確定決算主義」といいますが、これを維持すべきかどうかは意見が分かれるところです。また、企業会計でも認められている「引当金」についても賛否が分かれます。将来の特定の費用または損失で、ボーナスのように、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる、という条件を満たす場合に計上が要求されますが、費用の早期計上は好まれるうえ、適正な期間損益計算の観点から引当金の計上は必須だとする賛成意見に対し、債務が確定していない費用で、債務確定主義の観点から計上が否定される、といった反対意見もあります。法人税はその背景に、企業会計の考え方があり、税務会計とも呼ばれ、企業の経理の現場で重視されています。学びを深め、妥当性や問題点を検討する力を身につけてください。

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金子 友裕教授経営学部 会計ファイナンス学科

  • 専門:租税法、会計学
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