除草剤に耐性を持つ遺伝子組換えダイズを使い、実際に遺伝子組換えかどうかを調べる簡便な方法を試してみましょう。ラウンドアップという除草剤は強力で、使うとほとんどの植物が死んでしまいます。除草剤を使うと、植物の成長に必要な酵素の働きを止めるため、植物はそれ以上成長できなくなります。そこで、遺伝子組換えによって、ラウンドアップが効かなくなるような遺伝子(バクテリア由来のEPSPS)を持たせることで、耐性が付き、ラウンドアップを使っても生き残ることができるダイズとなるのです。遺伝子組換えかどうかを調べるためには、遺伝子を増幅させるPCR法や、遺伝子に由来するたんぱく質を検出するELISA法などがあります。しかし、これらは時間と手間がかかるため、ラテラルフローストリップ法という、免疫システム(異物から生体を守る仕組み)を利用した方法を使います。シート状の実験装置に、特定の抗原(異物)を認識する抗体と、何でも認識する抗体を並べてセットし、標識した抗体を流すと、抗原を持つ抗体は認識され、陽性だと判断できます。この方法は、インフルエンザウィルスの抗原検出用や妊娠検査薬などでも広く応用されている方法です。

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佐々木 和生教授食環境科学部 食環境科学科

  • 専門:植物生理学
  • 掲載内容は、取材当時のものです