「宗教」というと、宗教団体のような狭いイメージを持たれがちですが、実際には身近な存在で、冠婚葬祭や地域の祭礼、観光地の寺院や教会、文学、映画、アニメなど、人々の日常生活の中に広がっています。「宗教社会学」は、こうしたさまざまな側面に、社会調査を通じた観察可能な範囲でアプローチし、一般社会との関係から宗教集団へ信者が入信した経緯まで、幅広い意味での宗教文化を研究対象とします。近年、移住者の国際移動が増え、在日外国人が238万人(2016年末現在)と、多民族化・多文化化しています。特に、労働者や国際結婚、留学生などといったさまざまな文化背景を持つニューカマーと呼ばれる人々が増え、宗教は、彼らがもたらす母国の文化や習慣の1つです。異国の地での生活上の困りごとなどを抱えた移住者たちにとっては、宗教が重要なセーフティーネットになっているのです。例えばキリスト教では、教会組織を基盤にした国内外での、福祉、医療、教育といった社会活動を積極的に行っており、地域団体や行政とのネットワークができています。また、震災時にはイスラーム教徒による炊き出しなどの支援活動などもありました。宗教が移住者にもたらす社会的機能には、他にも、自分たちのルーツとなる言語や文化を日本人信者にも共有し、またそれを第二世代、第三世代に伝えていくことなどがあります。グローバル化する宗教についても、宗教社会学の視点からの考察を深めるべきだと言えるでしょう。

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高橋 典史准教授社会学部 社会文化システム学科

  • 専門:宗教社会学
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