PRというと、広告や宣伝などと同じだと誤解されることがありますが、別のものです。広告は、テレビ番組の間に流れるCMのように、組織(広告主)が有料メディアを通じて、伝えたい情報を発信することです。新聞や雑誌で言えば、記事ではないところにある情報を指し、自分で自分を「いいよ」と発信します。一方PRは、例えばテレビ番組や新聞、雑誌の記事の中で紹介されている情報などを指します。メディアに取り上げてもらって、第三者(マスコミ)に「いいね」と言ってもらい、さまざまな人々との関係を築いていくことです。つまり、広告は「攻め」、PRは「守り」のアプローチと言えるでしょう。PRとは、“Public(公共との) Relations(関係性を築く)”の略で、日本では「広報」と呼ばれることが多く、企業などの組織が社会とのよりよい関係性を構築し、維持することを意味します。メディアが間に入ることによって、円滑にコミュニケーションをとり、周囲のうわさや受け手の誤解を取り除き、送り手の意図通りにメッセージを的確に伝えたり、レピュテーション・リスク(評判が毀損する危険性)を回避したりという役割を持ちます。不祥事などの悪い評判は広まりやすく、対応を誤ると大問題に発展するため、記者会見などで釈明や謝罪をすることが重要になります。
一方で近年、広告とPRは融合してきています。情報技術の進歩とインターネットの普及により、誰でもメディアを所有し、SNSなどで発信できるようになったためです。今後はさらに、広告とPRの境界は曖昧になってくる可能性が高いでしょう。

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薗部 靖史教授社会学部 メディアコミュニケーション学科

  • 専門:マーケティング・コミュニケーション、PR論、広告論
  • 掲載内容は、取材当時のものです