財務会計とは、会社の外部に対して報告する会計のことです。財務会計では、利害関係者に対して会社の財政状態や経営成績、お金の流れに関する情報を提供しています。株主への配当額や納税額などの重要な計算の基礎にも関わるので、財務会計は社会に対しても大きな影響を及ぼしています。また、投資家が投資するかどうか決める、その判断を支援する役割も果たしています。そのため、適切な情報が提供されないということは、市場の信頼性を損ねることにつながります。
不適切な会計は市場の信頼を乱します。たとえば創業140年の老舗企業で世界的に名が知られている企業が、7年間にわたって不正な会計処理を行っていたケースがあります。最終的に不適切会計による利益水増しは2,248億円にも達していました。この結果、課徴金84億円、株主への配当金は無配、株は特設注意市場銘柄に指定されました。
会計情報は市場のインフラともいえるものですから、財務会計が果たす社会的役割は非常に重要なのです。

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杉山 晶子教授経営学部 会計ファイナンス学科

  • 専門:税効果会計、国際財務報告基準、税務会計

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