インドの独立運動は第一次大戦をきっかけに、「帝国内自治領」という考えから、イギリスからの「完全独立」へと変わりました。それを主導したのが、ガーンディーやJ・ネールーです。独立を達成するには力の行使が必要ですが、ガーンディーは非暴力不服従主義を唱えました。この戦略は、相手が専制国家だったら役に立ちません。国際政治の重要な特徴もここにあります。
国内政治では、中央政府が法を定め、ルールが守られない場合は物理的強制力を行使することができます。国民の上に中央政府がいるから、国内政治ではこれが成り立ちます。しかし、国際政治では国家間の利害対立があった場合、国際連合は各国の自発的な取り組みを促す組織であり、国際法に強制力はありません。つまり、国家と国家の力と力のぶつかり合いのなかで、自分の利益を実現しなければならないのです。
国際政治では調停する上位の権力がないため、中央政府のある国内政治と同じように考えることはできません。国際政治には、国内政治と異なる利害調整の仕組みや対立の解決の仕方があるのです。

pf_ueda.jpg

上田 知亮准教授法学部 法律学科

  • 専門:国際政治学、比較政治学、インド政治、南アジア地域研究

  • 掲載内容は、取材当時のものです