「競争」というのは、言葉の響きからネガティブなイメージが先行するかもしれません。しかし、企業間の競争がないとどうなるでしょう。30年ほど前まで、固定電話のサービスを提供する会社は1つしかありませんでした。電話機の種類は限られ、電話料金も今より高く設定されていました。一方、現在のスマートフォンは数社が競い合うことで、品質や価格が日々向上しています。また、格安航空会社が参入したことで価格競争が起き、飛行機を利用しての旅行が身近なものになりました。ただし、企業の競争を野放しにすると、不正が行われるかもしれません。そこで制定されているのが「独占禁止法」です。
独占禁止法は、公正かつ自由な競争で企業と企業が切磋琢磨し、より良い商品を提供する環境を整える法律です。この法律によって、私たちは良い商品をより安く手に入れることができるので、独占禁止法の恩恵を被っていると言えます。つまり、会社と会社の本来的な競争という観点で考えてみると、競争は必ずしも悪いものではないのです。

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多田 英明教授法学部 法律学科

  • 専門:独占禁止法、経済法、EU法、EU競争法

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