人々が関係を持つところでは、お互いの生活を円滑にする「規範」が形成されています。「規範」とはいわばルールで、法律も「規範」のひとつです。
「規範」は、どのように維持されているのでしょう。規範は「守られる」ことが必要ですが、それだけでは維持されず、実は「破られる」ことも必要です。規範を破った違反者を罰することで、規範の存在感、規範を守る意味を示すことができます。つまり、「犯罪は規範がつくり出している」のです。
社会学の始祖のひとりであるエミール・デュルケムは、「犯罪はむしろ社会において必要不可欠である」という犯罪正常説を唱えました。誰かを犯罪者として非難することで、人々に守るべき規範を自覚させるのです。
自分が凶悪犯罪に遭う可能性は低いにも関わらず、私たちは凶悪犯罪に惹きつけられ、加害者に対して怒りを覚え、非難し刑罰を求めます。どうしてそう思うのでしょう。犯罪は本質的に悪だから非難するのか、それとも別の仕組みが働いているのか。このように、「私たちと規範」という視点から犯罪について考える、これが犯罪社会学の基本的なスタンスです。

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本田 宏治准教授社会学部 社会文化システム学科

  • 専門:犯罪社会学

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