運動が健康に及ぼす重要性は誰しもが認識していますが、実際に運動を習慣的にできる人とできない人がいます。「行動する意思を生む要因」は人さまざまで、それを規定する要因はどういったところにあり、実際にどのようにしたら運動が継続できるのか考えてみましょう。「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」とは、結果が予測できる確信「期待信念」のことで、運動に置き換えた尺度では「自己効力感尺度」「運動セルフ・エフィカシー」といいます。運動非実践者には三つのタイプがあり、運動習慣が全くない人は「確信タイプ」に分類され、運動の必要性を感じていなかったり、運動が嫌いであったりすることがあげられます。運動する意思が若干弱い「気まぐれタイプ」は、多忙であったり、運動することを忘れていたりする人たちです。また、運動習慣が中程度の「知識不足タイプ」の人たちは、情報不足や不適切な運動プログラム、怪我による中断などが原因となっています。このような人たちが運動を継続するために、動機づけを向上させる有形無形さまざまな援助「ソーシャルサポート(社会支援)」があります。サポートの一つ目には、物品や金銭補助などの「手段的サポート」、二つ目に励ましや称賛などの「情緒的サポート」、三つ目に知識や案内の提供をする「情報サポート」、そして約束や仲間づくりなどの「同伴サポート」があります。人生100年時代を見据え、「運動セルフ・エフィカシー」を使って、社会に出る前に高次な運動意識を身につけ、生涯にわたる運動習慣が確立されるきっかけになってほしいと思います。

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一川 大輔教授理工学部 都市環境デザイン学科

  • 専門:運動生理学、スポーツバイオメカニクス、体育科教育学
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