「いかにして私たちが外国語を習得するか」について、特に学習動機付けの観点から考えていきます。第一言語とは母語(first language [L1])であり、第二言語は母語以外の外国語(second language [L2] )を指します。日本語であるL1と、英語や中国語などのL2を習得するメカニズムを解明するのが「第二言語習得理論(second language acquisition [SLA])」です。英語圏では、第二の母語としての英語(English as a Second Language [ESL])を学び、非英語圏では英語を外国語科目(English as a Foreign Language [EFL])として学びます。このような2つの環境の違いが、習得レベルに影響していると言われています。EFL環境では、性格や学習信条などの個人差要因が大きいと言われ、なかでも「動機付け」が注目されています。動機付け要因の一つに「社会教育モデル」がありますが、これは文化的かつ社会的な動機付けである「統合的動機付け」と、実利的な目標を達成するための意欲である「道具的動機付け」の2つから構成されています。また、もう一つの要因である「自己決定理論」は、人には生得的に自らを高めたい(有能性)、人と関わりたいために(関係性)、自ら行動する(自律性)という三つの欲求があり、それを満たすことで意欲的になるとされています。英語を習得するには、英語話者と接点を持ち、目標を達成するために意欲的に取り組むことが重要です。どのような理由でも、持続することで動機付けが高まり、欲求を満たすことで、外発的から内発的な動機付けへと変化するものなのです。

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熊澤 孝昭准教授経済学部 総合政策学科

  • 専門:英語教育学、言語教育評価論
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