国際社会において共通課題の1つが急激な人口増加です。世界人口は19世紀以降、産業革命や医療の発展等により爆発的に増えており、2050年には90億人を優に超えるという試算が出ています。この急激な人口増加に対応するには、食べ物が6割増し必要だとされています。では、国際社会においてこの人口を支えていくためには、どのような対策をとるべきでしょうか。そのキーワードが「virtual water」です。virtual waterとは、目に見えないけれども、私たちが日々必要とし、使用している水のことをいいます。例えば、カップ1杯のお茶を作る場合、お茶を沸かす水だけでなく、茶葉を生産する水も含めて、35リットルを必要とする考え方です。1人1日分の食料品を作るのに、3,000リットルの水が必要だと、試算されています。特に日本は食料品の60%を輸入に頼っているため、輸入品をvirtual waterに置き換えると、相当量を使用していると考えられます。しかし、地球上で使用できる水は全体の0.01%に過ぎず、世界人口が増えると、食べ物を生産する水も2割増しになるため、より水が必要となります。この問題は、輸入に頼る食文化を持つ日本に大きく影響してくるでしょう。また、世界人口の60%を占めるアジアの中でも、日本は少子高齢化社会といわれるように長寿で、豊かさを享受している国です。そのため、国際社会にどのように貢献していけるかを考えることが、非常に大切となってきます。国家間のつながりが非常に密接で複雑化している今、生活支援学の学びを国際社会の一員としての視点を持って、深めていきましょう。

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阿久津 純恵准教授福祉社会デザイン学部 社会福祉学科

  • 専門:外国語教育、異文化コミュニケーション
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