社会とメディアの関係について学ぶ大きな目標の一つに、「メディア・リテラシーを獲得すること」が挙げられます。それにはメディアの情報をただ受け止めるだけではなく、「主体的に考え、読み解く力を身につける」ということが必要です。メディアと一口に言っても、新聞、インターネット、ニュースなどさまざまですが、今回は主に映像を扱い、アクティブ・ラーニング方式の授業で、自ら調べ、クラスメイトと議論しながら知識を自分のものとしていきます。題材には、日米それぞれの映画を1本ずつ扱います。一つは「MILK」というLGBTを扱うアメリカの映画です。これは、1970年代のカリフォルニア州サンフランシスコの市議会選挙を舞台とする、ゲイで初めて市政議員となったハーヴェイ・ミルクという人物を描いた物語です。もう一つは、日本の「選挙」という映画です。こちらは川崎市の市議会選挙に挑む候補者が選挙運動を初体験し、当選するまでのドキュメンタリー映画です。授業で学生たちは、二つの作品の「駅」のシーンに注目したり、テーマを「欠点」と捉えたり、「組織と個人」や「社会問題と政治問題」で比較したりするなど表現方法についてプレゼンし、質疑応答や議論を通して、お互いの意見や考えをやり取りしました。このように、映画をただ見るだけでなく、多角的な視点を持って観ることや、メディアに主体的に関わっていくことで、情報を多角的に分析し、収集していく力を身につけていくのです。

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堀 ひかり准教授文学部 国際文化コミュニケーション学科

  • 専門:視覚文化論、ジェンダー論、映像学
  • 掲載内容は、取材当時のものです