社会への応用が急速に広まっている人工知能(AI)は、さまざまな要素技術の組み合わせによって実現されています。目(画像データ)から見えているものは何か、顔ならそれが誰かを判別し、耳(音声データ)から、その人がどのような単語を話しているのかを判別するなど、データの「種類」の判別、分類の予測が特に重要です。例えば4つ足の動物を見たとき、耳の形や模様など、多種多様なイヌとそれ以外を、私たちは分類することができます。4つ足の動物を全部「ワンワンだ!」といっていたはずの幼い頃に、いいえ、あれは牛よ、鹿よ、と教わることで自分なりの境界を引き、分類することができるようになったのです。このように、与えられたデータに対して、教えられた分類がうまくできるような境界を求め、更新していく過程を「学習」と呼び、求めた境界を用いて、未知のデータに対して分類予測をする方法を一般に「機械学習法」と呼びます。機械学習法を実現するには、生物の神経細胞、ニューロンをモデルにした方法で、ニューラルネットワークと分離超平面を用い、2次元平面での直線で領域を分けたり、中間層(隠れ層)を追加して非線形の分離超平面を引いて分類したりします。機械学習法は、ジャンルを問わずさまざまなデータに適用することができる“便利な道具”です。ただし、使いこなすためには、原理、強み、限界などを正しく知る必要があります。みなさんも、機械学習法について自分で調べて知見を広げ、新しい応用を考えてみてください。

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中村 周吾教授情報連携学部 情報連携学科

  • 専門:生命科学・医薬健康データなどの解析・予測
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