在日外国人はこの5年で急激に増加し、260万人を超えます。彼らが日本で永住や定住をする場合、どのような生活のしづらさを抱えているのでしょうか。例えば日本語ができないため、子供が学校から持ち帰ったプリントが読めず、手続きの仕方が分からない、進路選択のアドバイスができないといった問題や、医療についての制度の違いからくる、医療費の問題や受診方法が分からない、といった問題が挙げられます。こうした「ことばの壁」「制度の壁」「こころの壁」といわれる問題について、現状で提供されている支援には、政府レベルでの外国人に特化した支援的政策はありません。生活保護制度や介護保険制度を外国人にも提供したり、特に外国籍住民人口が多い自治体では、多国語相談などの機会を提供したりしているほか、多くのNGOが日本語教室や地域住民との架け橋となる独自の支援を行っていますが、外国人が利用できるサービスは少なく、その質や内容も課題となっています。今後はソーシャルワーク的な支援として、在日外国人の背景とソーシャルワークの知識を持ったソーシャルワーカーが、できるだけ在日外国人に近いところで、行政機関や地域の人々と協力しながら、多言語による相談援助だけでなく、サービスの拡大やその周知、またサービス提供者への支援をしていくことなどが求められていくでしょう。

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荻野 剛史教授福祉社会デザイン学部 社会福祉学科

  • 専門:ソーシャルワーク、滞日難民に対するソーシャルワーク
  • 掲載内容は、取材当時のものです