建築に関わる関係者や業種には、不動産・ディベロッパーといった発注者、建築家・エンジニア・建築士といった設計者をはじめ、元請施工者であるゼネコン・ハウスメーカー・工務店、下請施工者である仮設・鉄筋・設備業者、技能労働者(職人)である、鳶・大工などがあげられます。そのほかにも、メーカー、コンサルタント会社、都市計画、行政といったさまざまな人や組織が関わっています。さらに、建築には施工工程や、計画、品質・予算・工程・安全・環境の管理など、多くのプロセスもあります。こうした知識は大学の講義で学ぶことができますが、実際の建築について体験することは難しいものです。そこで、学生のみなさんには二つの実習を通じて建築の体験をしてもらいました。一つは、富士教育訓練センターでの「建築施工実習」です。実際のゼネコンの新入社員が研修をする施設で合宿をしながら、内装、リニューアル工事、測量、施工管理、図面の見方、足場の組み立て、解体などを学びます。もう一つは、村と地域の方々、学生が一体となり、交流しながら木造建築を学ぶ「加子母木匠塾」というワークショップです。こうした実際の設計から施工、管理までを自分たちで手掛け、建築がどのようものなのか、関わる多くの人とのコミュニケーションやその役割を知る体験は、学生がより深く学ぶことができるだけではありません。建設業の課題とされる、人材の確保や育成にもつながると言えるでしょう。

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浦江 真人教授理工学部 建築学科 建築生産研究室

  • 専門:建築構法、建築生産、施工管理、品質管理、設計と施工の情報の統合化、建築プロジェクトマネジメント
  • 掲載内容は、取材当時のものです