物理学の中の力学で一番大事な方式は、「物体に力が加わると加速度が生じる」という「ニュートン方程式」です。そこで、ニュートン方程式に「万有引力の法則」をあてはめることで、実際に力が働いているとき(万有引力)に、どのような運動が起こるのかを示し、「ケプラーの法則」を数学的に証明してみます。
ケプラーの法則とは、今から400年以上前に、ケプラーによって膨大な観測データから導き出された法則です。「第1法則(楕円軌道の法則)惑星は、太陽と一つの焦点とする楕円軌道を動く」、「第2法則(面積速度一定の法則)惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である」、「第3法則(調和の法則)惑星の公転周期の二乗は軌道の長半径の3乗に比例する」、という3つの法則からなります。これはあくまで星の運動の観測データによる法則なので、実際に微分方程式を解いてみます。ニュートン方程式のシンプルな式を用いれば、昔の人が何年もかかって見出してきた法則を、数十分で証明することができます。これはまさに、物理学の醍醐味といえるでしょう。
ニュートン方程式は、ケプラーの法則だけでなく、さまざまな状況に当てはめることができます。このように「数学」という道具を使って、ぜひ物理の醍醐味を味わい、みなさんの世界を広げていってください。

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柴田 絢也教授理工学部 電気電子情報工学科 物性理論研究室

  • 専門:物性理論、スピントロニクスの基礎理論
  • 掲載内容は、取材当時のものです