「福祉」とは何でしょうか。「福祉」に最も意味が似ている言葉は「幸せ」や「幸福」といわれますが、実際は、どうなのでしょうか。幸せと福祉の違いはいくつかありますが、その中でも「『幸せ』は人より自分、といった利己的なところがある一方、『福祉』は “みんなで”や“全体で”というニュアンスがある」という違いに着目して考えてみると、福祉とは「すべての人の幸せを最大限にすること」といえます。
では、「みんなが幸せになる」とはどういうことでしょう。掃除をしたご褒美に、大きなケーキをいただいたとします。掃除をろくにしなかった人、甘いものが苦手な人など、さまざまなケースが考えられるため、みんなでただ等分するだけでは「公平さ」と「個人差」の点で問題が生じます。
こうした公平さの問題を議論し、法律・制度のあり方や歴史を学ぶのが「政策論」、個人差についての問題を扱うのが「援助論」です。社会福祉とは、どうすれば「みんな」が幸せになれるのかを考え(政策論)、「一人ひとり」の幸せを実現する(援助論)ための学問です。いずれも簡単に答えが見いだせるわけではない、奥深い問題だからこそ、大学での学びが必要になるのです。ぜひ、一緒に考え、実践していきましょう。

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稲沢 公一教授福祉社会デザイン学部 社会福祉学科

  • 専門:精神保健福祉論
  • 掲載内容は、取材当時のものです