継続的な企業成長は事業の多角化による内部成長を基本とします。多角化とは、異なる複数の事業を1つの企業のなかで運営していくことです。企業成長の核は「どのような新たな事業に経営資源を配分・利用していくか」にあります。そこで考えるべき最大のポイントがシナジー(相乗)効果です。シナジー効果とは、異なる事業間で経営資源が補完・共有されることにより、事業活動に正の影響がもたらされることを言います。追求可能なシナジーには財務シナジー、戦略シナジー、資源シナジーがあり、シナジー効果が働くことで、新事業に必要な資源を備えている企業は速やかにそれらを新しい活動に向けることができます。また、資源のダイナミック・シナジーという考え方を用いることによって、時間的に長くかつダイナミックな事業間、そして経営資源の変化を捉えることができます。このように、企業成長を達成するための戦略にはさまざまな方法があります。単一事業を運営して売り上げを伸ばし、それによって企業成長を達成するというだけではなく、もう少し複雑な企業の成長の見方をすることもできるのです。

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大原 亨准教授経営学部 経営学科

  • 専門:経営学

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