先進国の現代人は、1日の約90%以上の時間を室内で過ごします。人間の健康や生活の質に大きく影響するものに「空気の状態」があります。この見えない空気を含む室内環境の、省エネと快適性を両立させる技術の1つとして、自然エネルギーの利用があります。
自然換気を用いた室内の環境は、室内環境評価法によって調べます。風速、温度・湿度、汚染物質の濃度、各吸気口からの環境形成への影響を調べ、外部条件の影響を検討します。このように建物を建てる前に室内環境を調べることで、目に見えない室内の空気や温度をデザインしやすくなるのです。
自然換気を利用する際の課題としては、外気を室奥へどうやって導入するか、そして風上側と風下側の温度や風速の分布を、いかに少なくするかが挙げられます。また、自然換気は外部の影響を受けるので、騒音や、雨・花粉・虫の浸入などにも注意することが必要です。
省エネと快適性の両立可能な設計を目指すためには、風土を理解し、自然エネルギーを積極的に利用するための技術の蓄積が必要です。また、不均一な環境を利用した設計法の確立も今後の課題です。

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イム ウンス教授理工学部 建築学科 建築環境デザイン研究室

  • 専門:建築学、建築環境・設備

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