「情報システム」とは、取り込んだ情報を蓄積し、処理・加工し、利用できる形にして伝達するしくみのことです。情報システムをつかさどる組織の情報システム部門が必要なリソース(経営資源)を保有していることがケイパビリティ(組織能力)の向上につながり、それが組織のパフォーマンスにつながるという理論があります。ここでリソースやケイパビリティをどのように「測定」し、概念として扱えるようにするかが、経営学研究におけるポイントのひとつとなります。

もうひとつのキーワードが「品質」です。品質の良い情報システムを使うことによって組織のパフォーマンスは向上します。ただし、さまざまな情報システムを実現するプロジェクトのうち、QCD=品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の3点で評価すると、成功率は30%程度とされています。品質を良くするには、プロジェクトの途中で「測定」を実施し、プロジェクトの状況を把握して、問題が大きくなる前に早めにアクションをとる必要があります。

組織のパフォーマンスの裏側にある要素をどのように測るのか、そして測ったもの同士を結び付け、全体としてどんな知見として整理するのか。測定を通じて概念を見出し、経営学の知見を積み重ねていく。それが経営学の面白さといえるでしょう。

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野中 誠教授経営学部 経営学科

  • 専門:情報システム、ソフトウェア品質マネジメント

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