ストレスにはネガティブなイメージがありますが、ストレスは人間が生きていくために必要な反応です。
人はストレスを感じると、血圧が上がったり脈拍が速まったり、といった「自律神経の反応」が起こります。これは自分の意志ではコントロールできないものですが、人間の体は血圧を維持させる「フィードバック・システム」という機能を持っています。
しかし、このシステムは事が起こってから機能するので、結果を待っていたら命に関わることもあり得ます。「ライオンに噛まれてからドキドキした」では手遅れでしょう? 人間はその時の状況、つまりストレスに応じた血圧に適応させる「フィードフォワード・システム」も備えているからこそ、現代まで生き永らえてくることができたのです。
暑い、寒いといった物理的なことでもストレスは起こります。それに反応しないということは、動物として生きることを放棄することです。ストレスは環境や状況の変化に対応しようとした結果であり、適度なストレスは人間に必要なもの。うまく付き合っていくことが大切なのです。

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堀内 城司教授生命科学部 生体医工学科 ニューロサイエンス研究室

  • 専門:脳・神経科学、ストレスの生体反応と調節

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