四大公害病(水俣病、第二水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病)は、化学工場から有機水銀、亜硫酸ガス、カドミウムの流出が原因でした。現在、日本の河川は、さまざまな研究者や企業、行政などの努力によってきれいな状態を取り戻しています。環境庁の「平成30 年度公共用水域水質測定結果」によると、有機汚濁成分の環境基準達成率が、全体(河川、湖沼、海域)では89.6%、河川に絞ると94.6%でした。しかし、湖沼における全窒素の環境基準達成率は16.7%と低く、特に窒素の処理が重要であると考えられます。今後もきれいな水環境を維持するためには、汚染源である工場汚水などを放流する前に、適切に浄化する技術が必要です。

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環境工学研究室では、新しい排水処理技術の確立に向けて、環境浄化に役立つ細菌の探索、培養、菌の固定化、さらに処理性能評価に至るまで、一貫した研究に取り組んでいます。例えば、湖沼などの閉鎖性水域で異常発生するアオコは、生息する生物の一部を死滅させることもあります。これは窒素による水質汚染が一因となっており、その対策として、窒素排水を浄化する処理システムが必要とされます。そこで近年、窒素を効率的に処理する機能を持った「アナモックス細菌」が注目されています。研究室では、アナモックス細菌の力を最大限に活かすため、高分子ゲルの内部に細菌を高密度に固定化して利用する「包括固定化技術」を開発し、性能評価を行っています。きれいな水環境を次の世代へつないでいくために、化学の力をどう活用していくかーそのような視点を持って、日々研究を重ねているのです。

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井坂 和一准教授理工学部 応用化学科 環境工学研究室

  • 専門:環境工学、化学工学、排水処理、固定化微生物
  • 掲載内容は、取材当時のものです