地域未利用資源の活用による地域・自然共生型脱炭素社会システムの設計
重点研究課題:
(1) (5)
研究代表者:
村野 昭人 教授(理工学部 都市環境デザイン学科)
研究期間:
2025年4月〜2028年3月

環境・経済・社会の課題を同時に解決するローカルSDGsの実現が地域に求められる中、自然資源が持つ新たな価値の活用を軸に、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの達成を目指す研究が進められている。
取材:2025年9月
現代社会では、地域で環境・経済・社会の課題を同時に解決するローカルSDGsの実現が求められています。この研究では、地域の自然資源を循環させることで、カーボンニュートラル(脱炭素)、サーキュラーエコノミー(資源循環)、ネイチャーポジティブ(生態系の保全)という3つの目標を統合的に達成することを目指しています。地域に存在する自然資源を対象に、それらの活用による環境負荷削減効果や経済波及効果を明らかにし、地域の未来を見据えた姿を描こうとしています。こうした取り組みは、学内の多様な専門分野の知見を結集し、地域企業との連携も取り入れながら進められています。
具体的な研究フィールドのひとつが、川越キャンパスの「こもれびの森」です。森林資源の保全と利活用の両面からアプローチし、木質バイオマスなどに着目した新たな資源循環モデルの構築に取り組んでいます。燃料供給とともに生態系保全を実現できる樹種の選定や育成手法の実証を進めています。朝霞キャンパスの先端植物育成室での実験と、郊外の地域をモデルとした民間企業との実証研究を組み合わせ、森林資源を持続的に循環させる仕組みを検証しています。森林の健全な育成と管理を通じて、地域発の循環システムの実装を目指しています。

また、学内の様々な分野の教員が集まり、それぞれの専門的な視点を取り入れることで、これまでに見えにくかった可能性が発掘されつつあります。再生可能エネルギーが太陽光や風力偏重に陥りがちな中、自然資源の潜在力を引き出す選択肢を提示することは地域の自立性を高めるうえでも重要です。地域固有の自然資源を軸とした地域施策や地域活性化を視野に入れ、持続可能な循環社会の実現に寄与していきます。

東洋大学 理工学部 都市環境デザイン学科 教授、本研究プロジェクト代表者。大阪大学大学院 工学研究科 環境工学専攻にて、博士前期・後期課程を修了。国土交通省 国土技術政策総合研究所 研究官、東洋大学 地域産業共生研究センター研究員等を経て、2009年に東洋大学理工学部に着任、2016年より現職。専門分野は環境システム工学。
※研究代表者の所属・職位は、取材時と異なっている場合があります。