機構長メッセージ

「東洋大学いのち総合研究機構」開設に寄せて

東洋⼤学は、1887 年に哲学を中⼼とする教育を⾏うことを⽬的として、井上円了が創⽴した「私⽴哲学館」を起源としており、今⽇までその伝統を受け継いでいます。

哲学館は円了が幼い頃から学んできた仏教の教説を、哲学を中⼼とする⻄洋近代思想に照らして「東洋哲学」として提⽰し、そのエッセンスを⼈びとの日常的な⽣活場面へと「応⽤」することを⽬指した研究・教育機関でありました。

つまり、哲学館それ⾃体が、哲学と社会を同時に活性化する理念を持った組織でもあったのです。

こうした円了の哲学・思想を受け継ぐ現在の東洋⼤学において、哲学館が有していたイノベーション力を現代的にアップデートすることを⽬指す「東洋大学いのち総合研究機構」を開設いたしました。

この機構は、「東洋⼤学重点研究推進プログラム」等を手がかりとして、円了の思想・哲学に通底する視点を持つ研究成果の創出と発信を⽬指し、地域社会や地球規模での社会的実践 (実践の知)を展開いたします。

これらの営みにより、最先端の科学技術・情報技術を活用しながら、現代社会のさまざまな問題に突き合わせ、「新たな価値」を創造し、個⼈と社会を一体同時的に豊かにしていくための総合的研究の拠点となることを目指します。

東洋大学いのち総合研究機構
機構長 矢口 悦子