【著作紹介】おもしろい! スポーツの物理

[2018年11月更新]

おもしろい! スポーツの物理

著者:望月 修(理工学部生体医工学科 教授)
出版社:講談社
出版年:2018年8月発行
価格:1,200円+税
ISBN:9784065119730
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内容:
スポーツは、練習することで上手になっていきます。くりかえすことで効果的な身体の使い方ができるようにもなります。 ですが、そこに物理学を取り入れると、なぜそのように体を動かさなければならないか、なぜボールをその方向に投げなければならないかが分かって、より精度の高い練習ができるようになります。 スポーツの様々なしくみを理解することで、目には見えないけれど実はよく知っている「物理」が、とてもおもしろい学問であるとわかります。

 

教員メッセージ

 スポーツをするには日頃の練習が欠かせないことはみなさんよく理解していることと思います。でも、むやみに筋力アップしても、その力の使い方をあやまると必ずしも結果につながりません。
たとえば、物凄くパワーのあるエンジンを積んだ車でも、ぬかるみでいくらエンジンをふかしてもタイヤが空回りするだけで、ちっとも前に進まないことは経験的に知っています。
これと同じことで、シューズやスキーのワックスの選び方ひとつで、鍛えた力を有効に路面に伝え、走る速度アップにつながったりダメだったりします。
力の使い方を扱うのは物理学です。
自分のスポーツにかかわる物理を知って、自分の力をどのように使うと効果的なのかを知ることで、練習方法も変わるでしょうし、結果も変わることでしょう。
そんなことに気づいてもらえるよう、本書ではいろいろなスポーツを取り上げて、力について解説しています。

目次

I はじめに

II 相撲
1.力士がぶつかるときにかかる力は?
 豆知識1 「こする」の摩擦
2.つり技にかくれている物理学

III 陸上
1.「すごく速く走る」を分析して考えよう
2.体重が軽くて有利なケースは?
3.100m10秒は、時速36km!
4.体が大きいほうが、やはり有利
5.体はかなり傾けて
6.マラソンは小柄な人に最適
 豆知識2 抵抗を感じてみよう
7.いっしょに走ると、速くなる?

IV 水泳
1.一番速い泳ぎかたは、なんだろう?
2.クロールで速く泳ぐには
3.最速に挑戦!
4.推進力をじょうずに使おう
 豆知識3 推進力はいろんなところに

V 自転車
1.「ママチャリ」はどうして乗りやすいの?
2.自転車競技を知っていますか?
3.カーブをうまく曲がれるように
 豆知識4 「遠心力」と「向心力」
4.縦に連なる自転車競技
5.自転車の変速機ってどうやって使うの?

VI サッカー
1.ボールをじょうずに止めてみよう
2.ボールを遠くに飛ばすには?
 豆知識5 放物線
3.転がるパスをうまく出すには?
4.いいドリブルのしかた
5.ヘディングの方向も考えてみよう

VII バスケットボール
1.パスを出すのにかかる力は?
2.3ポイントシュートを考える
3.バスケットボールの特性
4.バウンドパスの物理的分析
 豆知識6 反発係数

VIII 野球
1.カーブの投げかた
2.ストレートはかんたんに投げられる?
3.ボールに回転を与えない球種
4.バットの芯のすごさ
5.バント成功のさせかた
6.まっすぐにボールを打ち返す
7.ホームランはどうやって打つ?

IX スケート、スキー、スノーボード
1.「すべる」を分析しよう
2.砂箱を知っていますか
3.スケートはなぜすべる?
4.スキーやスノーボードがすべるしくみ

X スポーツクライミング
1.壁をどうやって登っているの?
2.重要なのは足の摩擦力
3.スポーツクライミングのすごさ
 豆知識7 ジュール
 豆知識8 壁を登るヤモリのふしぎ

XI テニス
1.テニスボールはなぜ毛が生えている?
2.トップスピンとスライス
3.スピンしたボールはどう跳ねる?
4.なぜテニスのサーブは野球の打球よりも速い263km/hが出るのか?

XII スキージャンプ
1.カンテをふつうに飛び出したら、何m飛ぶ?
2.ジャンプは落下するスポーツ
3.飛び出しの動作にも理由があります
4.空中での姿勢
5.高く飛んだほうがいい記録が出るの?

XIII くわしい解説
攻略アイテム1 (A)運動量=質量x速度 (B)力=質量x加速度
(1)速度
(2)運動量
(3)力
(4)加速度
(5)力の大きさ
(6)速度には方向がある?
攻略アイテム2 質量はものの性質、重さは力
攻略アイテム3 ある大きさの力で押すと、押されたものは同じ大きさの反力で押し返す
攻略アイテム4 力の大きさと方向は矢印で表せ、足したり引いたりもできる力は水平方向と垂直方向に分解もできる
攻略アイテム5 力がバランスすると (A)止まったまま (B)同じ速度で動きつづける
攻略アイテム6 重心はものの重さが一点に集中していると見なした点
攻略アイテム7 衝突後の物体AとBが持っている運動量の和=衝突前の物体AとBが持っている運動量の和

XIV おわりに

[著者] 望月 修(モチヅキ オサム)

望月 修先生

1954年、東京生まれ。
北海道大学工学部卒業後、82年に北海道大学大学院・博士後期課程修了。
名古屋工業大学助手、北海道大学工学部講師を経て、87年から同大学助教授に。
現在は、東洋大学理工学部教授。日本機械学会フェロー、日本流体力学会フェロー。 1980年代後半に、スキージャンプ日本代表チームの依頼で飛行姿勢の解析に取り組み、以来、流体工学とスポーツの研究に従事。 著書に『オリンピックに勝つ物理学』(講談社ブルーバックス)などがある。

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