Q. 進学を決意したきっかけは?
A. 私は学部4年4月頃まで進路に悩んでいました。当初は就職活動を行なっていましたが、自己分析や社会への準備を進めるうちに自分自身を深く理解するきっかけになり、より専門的技術や知識、思考力を高め、研究していきたいと感じるようになっていきました。また、所属している研究室で古民家再生プロジェクトが始動することになり、このタイミングで卒業するのはもったいないと考えました。このプロジェクトに取り組むことを通じて、多様な視点や価値観に触れることで自分を成長させる貴重な機会になりうると感じ、将来のキャリアにおいても役立つと思い、進学を決意しました。
Q. 現在の研究テーマを教えてください。
A. 研究テーマは「3D都市モデルを用いた公的空間デザイン手法に関する実践的研究」です。我が国では人口減少・少子高齢化に伴い、税収減少・社会保障費増大など様々な課題を抱えています。また市民ニーズは多様化・高度化しており、従来の行政サービスの水準を維持することが困難になってきています。現状を踏まえると行政・企業・市民が互いの資源を持ち寄りながら、課題を解決するための市民協働のまちづくりが着目されています。一方、社会全体でデジタル化が急速に進展しており、まちづくり分野での活用も拡大しつつあり、国土交通省はまちづくりのDX を推進しています。そのため市民協働を推進するにあたり、3D都市モデルをバーチャル空間上に展開し、市民の合意の下に公的空間の再構築を実現するための合意形成支援システムの提案を目指しています。
Q. 研究の面白みはどのようなことですか?
A. 研究の面白さは未知の領域に挑戦し、そこで得られる新たな知見や発見を得ることにあります。研究室では、鉄道交通系、地方創成、コミュニティ、都市評価手法、都市経営マネジメントなど、様々な分野の研究を行っている学生が属しています。一見すると別々の領域の研究に見えますが、そこには共通の思考や考え方があります。研究室メンバーとのディスカッションで意見交換し、時には厳しい反論を受け入れることで、自分の見解や考えを深めることができています。この過程で得られる刺激や気づきが、研究の面白さとやりがいにつながっています。
Q. 研究での苦労はありますか?
A. 研究における苦労は時間管理です。自分の研究に加え、後輩指導、インターン、アルバイト、学内活動、自己研鑽など、多くの活動を限られた時間の中で並行して行わなければなりません。作業の優先順位を決めながら時間管理をしていますが、特に自身も成長をしながら研究成果を出さなければならないプレッシャーは非常に大きいです。研究を進める中では、成果が出ず、期待通りに進展しないことも少なくなく、常に試行錯誤を繰り返しています。そのため小さな進展や成功体験であっても得られる達成感は非常に大きく、研究を続ける原動力にもなっています。
Q. 学会発表に向けた取組み(準備・活動)を教えてください。
A. 主な準備として発表資料の作成に注力しています。学会発表では限られた時間の中で、いかに分かりやすく、かつ論理的に自分自身の研究内容を伝えられるかが求められます。これまでの学内発表では膨大な情報量の中で何の情報を切り捨てて何を伝えるべきなのか、教授の指導の下、ブラシュアップを何回も繰り返して取り組んできました。その結果として自信を持った満足感のある発表ができました。今後も同様なステップを踏み、研究室メンバーと不明瞭な部分やミスなどを互いにチェックしあいながら練習を重ね、発表に挑みたいと思います。
Q. 今後の目標をお聞かせください。
A. 私の今後の目標は、研究対象地域の埼玉県比企郡川島町での地域活動に注力していくことです。現在、古民家を活用した新たなコミュニティ再生事業が進められており、その一部に携わらせていただいています。令和6年度には今後の利活用に関する方向性が決定され、運営・維持管理とハード面での整備が行われる予定です。私は主にハード面の整備を担当していきますが、ソフト面も含めた両面での取り組みを通じてプロジェクトを推進していきます。研究室で培った知識や技術を駆使して、多様な方々との連携を図り、地域社会全体の持続可能な発展に貢献できるよう尽力したいと考えています。

Q. 大学院進学を検討している人にアドバイスをお願いします。
A. 現代社会は益々、不確実性が高まり、これまで当たり前だった常識や価値観が通用しなくなり、将来への予測が難しくなってきています。その中で高度な専門知識や技術の取得、論理的思考プレゼンテーションスキル等は、非常に重要なアドバンテージになってきていると感じています。東洋大学には研究に没頭することができる充実した環境が提供されていますし、自己研鑽できるプロジェクト/イベントも豊富にあります。私自身も頻繁に有効に活用させていただいています。迷っている方には、ぜひ積極的に大学院進学を検討していただきたいです。
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