先輩からのメッセージ 2024

TOYO PERSON

Q.進学を決意したきっかけは?

A.学部時代の頃から半導体に興味を持っていました。学部四年生の一年間の研究生活の中で、自力で導き出した結論が卒論の発表会で他の研究室の先生からも良い評価をいただき、自信が付きました。しかしながら、その一年間で学んだ知識だけでは、最先端の半導体産業で活躍するには物足りないと思い、博士前期課程の2年間で、教授と研究を進めながら、半導体知識を深く理解し、研究視野を更に広げることを期待し、進学を決意しました。

Q.現在の研究テーマを教えてください。 

A.パソコンや様々な電気機器を低電力化かつ小型化にするために、それらの中に使われているトランジスタは益々微細化されています。トランジスタの電気特性を保ったままでトランジスタのサイズを縮小することは、スケーリングと言われています。しかし、異なる形状を持っている様々なトランジスタに適用できるスケーリング則を導出することは世界中、未だに解決されていない難問です。その解決のため、私は最先端のデバイスシミュレータを使用して、様々なトランジスタの電気特性をシミュレーションし、「マルチゲートFETにおけるスケーリング則の提案及び検証」をテーマとして研究しています。本研究で提案しているスケーリング則は、ナノスケール級のサイズに対しても、新素材に対しても、全ての次世代トランジスタに適用可能な設計指針になり得ると考えています。

Q.研究の面白みはどのようなことですか?

A.研究室に入って半年から一年間の短い時間で、半導体業界でよく使われている最先端のシミュレーターの使用方法を熟練することができました。教科書や論文に載っている現象や自分のアイデアなどを実際に自らシミュレーションし、検証できることは面白いです。また、この二年間の研究生活の中で、半導体研究の分野で長年解決されていなかった難問を、試行錯誤を繰り返しながら、自分自身で解決した達成感と自分の成長を感じられたことで、やり甲斐を感じることができました。

国際学会での発表について:

The 11th International Conference on Materials for Advanced Technologies (ICMAT2023) Singapore (June 2023).

Q.学会発表に向けた取組み(準備・活動)を教えてください。

A.彼を知り己を知れば百戦危うからずで、学会発表に向けて、自分の研究と他グループの違いや関連性をしっかり把握することが重要だと思いました。又、理解しやすい、きれいな英語で表現し、教授と相談しながら、研究室の仲間からもフィードバックをもらい、暗記できるまで英語発表を何十回と練習しました。海外発表では、現地に着いてからも、開催国の交通手段や文化的習慣に慣れていくことも大切だと思います。

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Q.学会での発表はいかがでしたか。

A.国際発表を通じて、自分の英語力が向上したと実感しています。世界中の研究者の様々な分野での最新研究を聞き、貴重な経験を積むことができ、国際学会に参加して良かったと思いました。質疑応答の際にも他グループからアドバイスをもらいました。世界中の研究者から発せられるまばゆい光を感じ、価値ある研究成果を生み出すために自身もさらに努力していきたいと思いました。

Q.今後の目標をお聞かせください。

A.大学院での二年間の研究成果を著名英文学術雑誌に投稿する予定です。中間発表の時に、学科の先生方から現在の研究での物理的解釈が不足しているというアドバイスをいただいたので、今後は理論解析にも取り組み、博士後期課程に進学して、新たな研究成果を発表し、将来は半導体産業で活躍できる専門性のある研究者になりたいです。

Q.大学院進学を検討している人にアドバイスをお願いします。

A.アドバイスが2つあります。1つは、研究を始める前から自分の研究テーマと関係している論文をしっかり読んで理解し、研究成果の目標を達成するために、何が必要で、どの分野の知識を学ばなければいけないかを確認することが大切です。2つ目は、ものを考える視点を一つに定めないで、多角的な考え方をすることです。なぜなら、研究生活は平坦であるとは限らないですし、以外な問題も次々と出てくるからです。私の教授からは、「ものは考えよう」とよく言われており、多方面から物事を考えるよう指導してくださいました。

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