様々なプレイヤと連携しプロジェクトを進める

TOYO PERSON
Q.先生の研究内容と、その魅力について教えてください。

私は、これまで「都市環境に多数の位置認識デバイスを埋め込み、それを用いて人の移動を支援する」というテーマで、研究を行ってきました。
現在広く使われているGPS等では、屋内や地下を含む都市環境では位置を正確に知ることはできませんが、環境中に小型の位置認識デバイスを埋め込めば、どこでもきめ細かく自分の位置がわかるようになります。位置が正確にわかれば、美術館や博物館のガイド、ショッピングセンターの案内、車椅子利用者を対象としたバリアフリーナビなど、様々な応用が実現します。さらに近年では、鉄道などの公共交通のデータ、防災データなど、様々なデータがリアルタイムに取得できるようになりつつありますが、これらを組み合わせれば応用の幅はさらに広がります。
あらゆるモノが繋がるIoT時代といわれる今、位置情報サービスは、さらなる発展の可能性を秘めていると思います。

Q.ご自身の専門分野に興味を持ったきっかけを教えてください。

大学生の時に坂村健教授の講義を受けたのですが、その中で、「コンピュータの進化はただ速くすることだけではない、小さく見えなくするという方向もある」ということを知り、ユビキタス・コンピューティングや、今で言うIoT(Internet of Things)の分野に興味を持ちました。大学院時代には、東京大学の坂村研究室に所属し、「場所に基づく情報サービス」をテーマに研究を行うことにしました。坂村先生は多数の大きなプロジェクトを進められていましたが、東京ミッドタウンでのアートツアーの構築や、銀座、神戸、奈良など様々な地域での実証実験など、多数のプロジェクトに関わる機会に恵まれました。

Q.情報連携学研究科で学び、研究することの魅力について教えてください。

いま「情報」の分野は、とても面白い時代です。特別な資格、高価な機器がなくても、プログラミングをはじめとしたコンピュータサイエンスの知識とスキルさえ身につければ、誰でも新しいものを作り世に出せる、これまでにない時代が来ていると思います。私自身も、この数年は坂村先生のもとで、研究の成果を「ココシル」というスマートフォンアプリとして、実用化することに取り組んできました。
情報連携学研究科では、様々なプレイヤと連携しプロジェクトを進める機会があると思います。ぜひ自分の成果を世の中に出すつもりで、研究に取り組んで頂ければと思います。

プロフィール

氏名:別所 正博(べっしょ まさひろ)
経歴: 
2008年7月 博士(学際情報学)(東京大学)
2013年3月 東京大学大学院情報学環 特任講師
2016年4月 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 研究開発部長
2017年4月 東洋大学情報連携学部 准教授 
専門:Ubiquitous Computing, IoT(Internet of Things), Location-based Service, Assistive Technology
論文:

  • Jee-Eun Kim, Masahiro Bessho, Shinsuke Kobayashi, Noboru Koshizuka, Ken Sakamura, “Navigating visually impaired travelers in a large train station using smartphone and bluetooth low energy”, in Proceedings of the 2016 ACM symposium on Applied computing, pp.604-611, 2016.
  • Jee-Eun Kim, Masahiro Bessho, Noboru Koshizuka, Ken Sakamura, "Enhancing Public Transit Accessibility for the Visually Impaired using IoT and Open Data Infrastructures", The First International Conference on IoT in Urban Space, pp.80-86, 2014.
  • 別所正博, 小林真輔, 越塚登, 坂村健,「ユビキタスコンピューティングと屋内環境の位置認識」, 電子情報通信学会誌, 小特集「ユビキタス時代の屋内位置検知技術」, Vol. 92, No. 4, pp. 249-255, 2009.
  • Masahiro Bessho, Shinsuke Kobayashi, Noboru Koshizuka, and Ken Sakamura, “uNavi : Implementation and Deployment of a Place-based Pedestrian Navigation System”, In Proceedings of the 1st IEEE International Workshop on Software Engineering for Context Aware Systems and Applications, pp. 1254-1259, 2008.
  • Masahiro Bessho, Shinsuke Kobayashi, Noboru Koshizuka, and Ken Sakamura, “A Space-Identifying Ubiquitous Infrastructure and its Application for Tour-Guiding Service”, In Proceedings of the 2008 ACM symposium on Applied computing, pp. 1616-1621, 2008. 

掲載されている内容は2017年4月現在のものです。