広い視野で豊かな学識を養いましょう!

TOYO PERSON
Q.大学院で学ぶことを目指した動機、経緯等を教えてください。

学部では法律系のサークルに所属していたので、ボランティア活動で田舎の法律相談会によく参加していました。その経験から民法の契約法や家族法に興味を感じるようになり、大学院へ進学しました。ところが、大学院で保険法を履修しながら団体保険のある条文に疑問を抱くようになり、専攻を商法に変えました。そして、修士論文テーマの団体保険を比較法的に考察しながら、その対象国の一つであった日本で法律を学びたいと思ったので、東京大学大学院・法学政治学研究科の研究生に志願し、来日することになりました。その後、上智大学大学院・法学研究科の博士後期課程に入学し、法律学専攻で博士学位を取得しました。博士論文のテーマは普通保険約款に対する規制と解釈原理ですので、私にとって研究者の出発点になったのは修士論文のテーマです。

Q.大学院生時代の楽しかった思い出を一つ教えてください。

修士論文の資料を収集するために来日し、孤軍奮闘していたことが最も楽しかった思い出です。当時は言葉も通じなかったし、知り合いも全くいなかったのに、よく一人で来日したな!と今は思いますが、失敗した経験も含めて人生を変える貴重な経験でした。勇気ある行動力から学んだこと、感じたことが留学という新たな挑戦を試みる契機になりました。

Q.大学院で学んだということが、先生の人生に与えている良い影響を一つ教えてください。

大学院では、高度の専門知識のみならず、広い視野とバランス感覚、研究者・教育者に必要な素養などについて深く学ぶことができました。そして、一緒に研究者を目指して頑張っていた仲間たちとの思い出は一生忘れられない宝物になっています。

Q.学位論文のテーマと現在の研究テーマとの間に関係があれば、教えてください。

保険契約は附合契約であるため、その保険約款の合理性、妥当性、公正さの確保は大変重要な問題であります。そこで、博士論文では保険約款の規制と解釈原理を考察し、問題提起および解決策を模索しました。
保険商品はますます多様化・複雑化しているので、常に保険約款は研究対象の一つになっています。今後も保険業界の環境的変化などに柔軟に対応できる研究を続けていく予定です。

Q.大学院で学ぶことを考えている受験生にエールをお願いします。

東洋大学法学研究科私法学専攻では、学部で学んだことをベースに一歩踏み込んだ専門的な研究活動を遂行します。知的好奇心にあふれ、豊かな学識と高度の研究能力を高めたい方は是非門戸を叩いてほしいと考えています。

プロフィール

氏名: 李 芝姸(い じよん)
経歴: 現在、東洋大学大学院法学研究科私法学専攻 教授
2008年より、東洋大学法学部
専門: 商法(保険法)
著書:
「 保険契約者の変更(地位の譲渡)に関する一考察―韓国の生命保険契約における議論を素材として―」保険学雑誌622号161~181頁
「一部誤表記のある保険約款の適用と解釈問題」保険学雑誌638号1~22頁
「韓国における保険詐欺防止対策に関する一考察-保険詐欺防止特別法を中心として-」保険学雑誌651号217~236頁
http://ris.toyo.ac.jp/profile/ja.081e31a2227269e9c887417154fff654.html

掲載されている内容は2022年5月現在のものです