高等学校

第63回高等学校入学式を行いました

2025年4月9日(水)

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第63回入学式を挙行し、399名が入学しました。

入学式の様子

 入学式の様子② 入学式の様子①

学校長式辞

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理事長告辞

常務理事 

   東洋大学常務理事の寺田信幸が告辞を述べました。

生徒宣誓

生徒宣誓

先輩方から学んだことを生かし、伝統を受け継いでさらに発展させていきたいとの決意を述べました。

来賓祝辞・メッセージ祝電披露 

育友会長 

   育友会長様からお祝いの言葉をいただきました。

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ホームルームの様子

 A組 B組
 C組 1組
 2組 3組
 4組 5組
 6組 7組
 8組 9組
 10組

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式   辞

 

 桜花らんまんたる今日の佳き日、来賓の方々や保護者の皆様方多数のご列席を得まして、伝統ある本校の入学式を挙行できますことは、誠に喜びにたえないところであります。

 新入生の皆さん、本校への入学おめでとうございます。「春風や 闘志いだきて 丘に立つ」、明治から昭和にかけての俳人・高浜虚子の句です。本日の皆さんの心境を語るのに、最もふさわしい句だと思います。ここ書写の麓、わが東洋のキャンパスに「よしやるぞ」という決意を持ってすっきりと立ち、青春の情熱を思う存分燃やしてください。教職員一同、心より皆さんの入学を歓迎いたします。

さて、本校は明治時代の哲学者・井上円了が設立した「哲学館」をルーツとする東洋大学の附属高校として、一九六三年にこの姫路の地に誕生しました。以来、地域の皆様に愛されながら、また多くの同窓生の皆様のご支援を受けながら、地元になくてはならない存在として着実な歩みを続けて参りました。この春の野球部の甲子園出場の際の地元の盛り上がりが、これを象徴しています。

本校は東京大学進学から就職まで、多様な進路を希望する生徒が混在しています。この多様性(ダイバーシティ)が本校の強みです。勉強をやりたい人はとことん勉強ができる、部活動をしたい人はとことん部活動ができる。でも、勉強も部活動もちょっと苦手だなという人もどこかに居場所がある、毎日が楽しい。それが「東洋」です。

新入生の皆さんは、大きな希望と期待を持って入学されたわけですが、自己の能力や個性をどのように磨き、伸ばすかは自分自身の努力にかかっています。福沢諭吉の『福翁自伝』には、緒方洪庵が開いた、大坂の適塾での凄まじいばかりの勉強ぶりが出てきます。ほとんど布団で寝たことがない。昼夜の別なく本を読む、眠くなれば机の上で突っ伏して寝る。しかもその間、立身出世を考えたりせず、そういうことを超えて、ただひたすら学んだと言っています。令和の時代には通用しないかもしれませんが、見習うべきところもあり、長い人生の中で、人間こうした時期が必要でもあります。

また、西洋のことわざに「難(かんなん)汝を玉にす」という言葉があります。苦難や壁を乗り越えることはたいへんですが、人生経験の少ない高校生の皆さんだからこそ、艱難辛苦が必ずや自らの成長へと導いてくれるはずです。勉強を頑張る人も部活動を頑張る人も、一貫コースもSコースもTコースも、SPコースもSAコースも、皆同じ「東洋の子」です。様々なバックボーンを持っている仲間と積極的に関わり、切磋琢磨をしながらお互い良い刺激を与えあって、本校の校訓である「友情」を育んでもらいたいと思います。

本校の教育理念は、学祖・井上円了が述べました「諸学の基礎は哲学にあり」です。哲学とは、物事の本質をとらえる学問、物事の真理を探究する学問のことで、どんな学問を学ぶ際にも必要となってきます。ですから、本校では、授業・部活動・学校行事など教育活動すべてにおいて、「考えるを、学ぶ」、「自ら考え、自ら選択する」ことを重視しています。

ということで、高校生の皆さんには、ぜひとも知的好奇心を燃やしてもらいたいと思います。知らないもの、未知なるものに出会った時、「なぜ?」と疑問を持ち、そして納得ゆくまで追求するのです。単に教えられたことを機械的に覚えるだけでは、自分で問題を解決する真の学力は身に付きません。なぜだろうと疑問を抱く知的好奇心があれば、そこから本当の勉強が始まります。こうした勉強は、知性豊かな人間となるためには絶対に必要なことであり、これがまた、「英知」を校訓としている本校で学ぶ意味でもあります。

その際、勉強について、一つだけ考えてほしいことがあります。イソップ物語の「ウサギとカメ」の話です。ウサギが昼寝をしたから負けたということになっていますが、実はカメにとっては、競争相手はウサギであろうとチータであろうと誰でもよかったのです。カメは一生懸命向こうの山のゴールだけ見て頑張りました。一方、ウサギはカメの動きばかりを見ていたので、じゃあ一休みするかと昼寝をして負けました。向こうの山まで競争という目標のことを考えずに、相手のことばかり考えていたから負けたのです。勉強も同じです。よきライバルは必要ですが、自分の立てた目標に向かって努力するのが勉強であり、このことはこれから本格的な勉強をするにあたって、よく考えてほしいことです。また、これは部活動におきかえても、同様に当てはまります。

ここで、保護者の皆様に一言申し上げます。本日はおめでとうございます。よくぞここまで育ってくれた、という感慨もひとしおだと思います。今日は巣立ちの日、お子様はこれから高校での三年間を通して、本校の校訓である「自立」への道を歩まれることになります。どうか、付かず離れずくらいの距離をおかれて、お子様の歩まれる姿をしっかり見つめられ、時には温かく励まし、時には毅然とした態度で指導していただきたいと思います。

最後に、新入生の皆さん、志を高く掲げましょう。志とは、将来にかける思いであり、気概です。皆さんは、高校生活三年間の延長線上に、どのような人生を生きるか考えていますか。生きるとは学ぶことであり、学ぶとは社会に貢献することです。どのような職業を選び、社会にいかに貢献するかということを、ぜひ考えてほしいと思います。自己の人生をいかに生きるか、自分の進路について真剣に考えることが志を高めることであり、このことは高校生活を充実させることにも繋がります。「春風や 闘志いだきて 丘に立つ」、東洋での三年間、一貫コースは後半の三年間になりますが、皆さんにとってかけがいのない三年間になることを心から祈念して、式辞といたします。

 

                              2025年4月9

   東洋大学附属姫路高等学校長  上田 肇

 

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