宮西 伸光 食環境科学部 食環境科学科 教授

母乳に含まれる「ミルクオリゴ糖」は、乳幼児の腸内環境の形成に重要な役割を果たす成分として注目されている。出生後から離乳期に形成される腸内環境は、その後の成長や発達にも大きな影響を与えるとされるが、ミルクオリゴ糖の構造や量の変化には未解明な部分も多い。食環境科学部食環境科学科の宮西伸光教授は、ミルクオリゴ糖を網羅的に解析し、産婦や乳幼児の健康を評価する診断技術の開発に挑む。母乳成分から産婦と乳幼児の健康を読み解く診断技術としての展開が期待されている。
取材:2026年1月
ミルクオリゴ糖は母乳に含まれる成分のひとつであり、乳幼児の腸内環境の形成に関わる機能が報告されています。出生後から離乳期に構築される腸内環境は、その後の成長や発達にも大きな影響を及ぼすと考えられています。しかし、ミルクオリゴ糖の構造や量の変化、時期ごとの動態などについては、まだ十分に明らかになっていない部分も残されています。
そこで進められているのが、ミルクオリゴ糖を網羅的に解析する診断技術の開発です。微量の母乳試料からミルクオリゴ糖の種類や構造、含有バランスを解析し、出産直後から離乳期までの変化を追跡することで、母乳の状態を客観的に評価することが可能になります。これにより、産婦の健康やストレスの影響を把握するとともに、乳幼児の腸内環境に関する新たな知見の蓄積も期待されます。
将来的には、医療機関と連携しながら産後の定期検診などで活用することも視野に入っています。ミルクオリゴ糖の状態を診断することで乳幼児の疾病リスクの低減や健全な発育の支援につなげる——次世代の子どもたちの健康を支える診断技術として、その可能性が広がっています。


東洋大学 食環境科学部 食環境科学科 教授。長崎大学大学院水産学研究科、東京水産大学大学院水産学研究科を修了し、東京水産大学にて博士(水産学)を取得。Flinders University研究員、香川医科大学総合生命科学実験センター、香川大学総合生命科学研究センター糖鎖機能解析研究部門などを経て、2010年に東洋大学生命科学部食環境科学科に着任。東洋大学食環境科学部准教授を経て、2015年より現職。2018年にImperial College London研究員として糖鎖の網羅的解析に従事。専門分野は糖鎖生物学、糖進化、糖鎖進化。