山口 明啓 理工学部 電気電子情報工学科 教授

新しい機能性材料の開発は、環境問題の解決や医薬品開発など、社会のさまざまな課題に直結する重要な研究分野である。しかし従来の材料探索は時間とコストを要し、研究開発のスピード向上が大きな課題となってきた。理工学部電気電子情報工学科の山口明啓教授は、材料の探索から合成、評価までを一体化した新しい研究プラットフォームの構築に挑む。化学反応を微小なチップ上で制御し、効率的に新材料を見いだすこの技術は、持続可能で安全な社会の実現につながる可能性を秘めている。
取材:2026年1月
CO₂の還元やNOxのアンモニア化、医薬品開発など、現代社会では新しい機能性材料が求められる場面が広がっています。しかし材料研究では、フラスコを用いて反応条件を一つずつ検証していく方法が主流であり、研究開発には多くの時間と労力を要するという課題があります。
そこで構想されているのが、材料の探索と評価を同時に行う研究プラットフォームです。微小なマイクロチップ上で化学薬品を自動的に送液し、さまざまな化学反応を選択的に起こすことで、材料の合成と評価を一体的に進めることが可能になります。さらに、ナノ構造を付与したチップによって、化学反応の過程をその場で観測しながら材料の特性を評価することもできます。材料探索から合成、評価までのプロセスを、手のひらサイズのチップの中で完結させるという発想です。
将来的には、この仕組みをマテリアル・インフォマティクスと組み合わせることで、新しい材料を自動的に探索し、その機能を評価していく研究環境も視野に入ります。新材料をより早く、低コストで創出する技術として、環境や医療など幅広い分野への応用が期待されています。


東洋大学 理工学部 電気電子情報工学科 教授、理工学研究科 電気電子情報専攻 教授、バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター研究員、工業技術研究所 研究員。姫路工業大学理学部物質科学科を卒業後、大阪大学大学院理学研究科物理学専攻、大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻を修了し、博士(理学)を取得。2024年より現職。専門分野はナノマイクロシステム、応用物性、計測工学、機能材料。