大澤 重仁 生命科学部 生体医工学科 准教授

貴金属資源の再利用や、微生物を活用した資源生産は、持続可能な社会の実現に欠かせない技術である。しかし現在は、資源の回収や培養のために大規模な施設を必要とする場合が多く、設備コストやエネルギー負荷の高さが課題となっている。生命科学部生体医工学科の大澤重仁准教授は、水中の貴金属イオンを捕捉して還元する水溶性高分子や、微生物を封入できるハイドロゲル材料の開発に取り組む。反応容器一つでも資源回収や培養が可能となる新しい材料技術は、資源循環のあり方を大きく変える可能性を秘めている。
取材:2026年1月
資源循環の重要性が高まるなか、貴金属資源の回収や、微生物を利用した物質生産の研究が進められています。これらは環境負荷の低減や資源の有効活用に貢献する一方、実際の回収や培養には大規模な施設や設備が必要となる場合が多く、コストやエネルギー消費の面で課題も残されています。
そこで開発が進められているのが、水中の貴金属イオンを捕捉し、その場で還元できる水溶性高分子材料です。この高分子は水溶液中で貴金属イオンを効率よく回収できる特性を持ち、条件によってはハイドロゲルとして利用することも可能です。こうしたゲル材料を用いることで、微生物を内部に保持しながら培養し、生成物とともに回収する新しい資源利用の仕組みも構想されています。
大規模施設に依存しない資源回収や培養技術が実現すれば、設備投資やエネルギー消費を抑えながら資源循環を進めることが可能になります。日本が強みを持つ資源回収技術と組み合わさることで、資源循環分野における新しい技術展開につながっていくことも期待されています。


東洋大学 生命科学部 生体医工学科 准教授、生命科学研究科 生体医工学専攻 准教授、生体医工学研究センター 研究員。東京大学工学部マテリアル工学科を卒業後、東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻博士課程を修了し、博士(工学)を取得。公益財団法人川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター研究員、東京理科大学理学部第一部応用化学科嘱託助教、東京女子医科大学先端生命医科学研究所特任助教を経て、2024年より現職。専門分野は生体材料学。