1. アルムナイHOME
  2. withコロナで、学生アスリートはどうなる?

withコロナで、学生アスリートはどうなる? SPECIAL  INTERVIEW

日々厳しいトレーニングを重ねるアスリートにとって、
「練習できない」という状況は過酷な試練。
新しいトレーニングスタイルが求められる中、
2021年の箱根駅伝で総合3位に返り咲いた
陸上競技部の酒井監督に話を伺いました。

酒井俊幸監督

スローガンは自立と自律。
自ら考え、取り組むことが、
チームのためになる。
目指すは箱根奪還。
「鉄紺の証明」にご期待ください。

酒井俊幸監督 TOSHIYUKI SAKAI
東洋大学 陸上競技部長距離部門監督
経済学部経済学科 1999年卒業

緊急事態宣言が発出された2020年3月。手探りの中で第一に考えたのは、アスリートである前に社会の一員として、競技より人命を優先すること。集団感染を避けるため急いで部員全員を寮から自宅に帰し、個々の自主性に任せるトレーニングが始まりました。2020年の箱根駅伝で11年続いた3位以内を逃した時、新チームが立てた課題は「自立と自律」。図らずも集団練習が難しくなった状況で、より重要な課題となりました。帰宅した選手たちには、課題のみ与え、具体的な練習メニューは伝えていません。ただ毎日の報告だけは徹底して、皆と共有することで緊張感を保ちました。コミュニケーションはZoomで実施。逆にいろんなことを話し合える機会にもなったと思います。
正直、2021年の箱根駅伝は賭けだと思っていましたが、今こそ、新しい東洋をつくるチャンス。思い切って選手と距離を置き、個々が課題に気付いて自らを鍛えていく、そんな方法にチャレンジしました。
他大学に比べ本学の規制は厳しく、再び全員がそろったのは2020年9月。しかし全日本大学駅伝のあった11月頃から、年末のトライアルも含め好タイムが続出。箱根に向けて手ごたえを感じ始めました。
今年の箱根駅伝は東洋大学にとってターニングポイントでした。3位以内に返り咲くことで、今後も優勝争いするチームであり続けられる。「すぐ定位置に戻ります!」と学生自ら宣言し、総合3位という形で有言実行してくれました。特に10区で青山学院大学を再逆転した時は、部員たちが涙を流していて、一緒にいる時間が少なかった中でも、しっかりとチームがまとまっていたことを実感しました。「自立と自律」が浸透し、東洋大学伝統のチームスピリット、1秒をけずりだす走り、怯まず前に出る走りを体現できたことで、学生も私自身も今までと違う大きな自信になりました。
今期は、これまでの土台に個々の力を融合しながらも、引き続き接触機会が限られる状況で、新1年生や、去年十分にコミュニケーションできなかった2年生に、いかに部の伝統やカルチャーを伝えていくかが大きな課題。しかし、新しい方法に挑戦しなければ未来はありません。合言葉は「鉄紺の証明」。この言葉には3つの意味があります。1つめは2021年の箱根駅伝3位が偶然ではないことを証明すること。2つめは東洋大学伝統の「鉄紺の走り」を自らの走りで体現、証明すること。そして3つめは、このような状況で応援してもらえることに感謝し、それにふさわしい人間であることを証明すること。目標は箱根駅伝総合優勝奪還。学生からも「狙う」という声が出ています。ぜひ期待してください。

酒井俊幸監督 TOSHIYUKI SAKAI
東洋大学 陸上競技部長距離部門監督
経済学部経済学科 1999年卒業
陸上競技部へのご支援はこちらから

- CONTENTS -