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Don’t stop TOYO 東洋大学学長 文学部教育学科 教授 矢口 悦子、東洋大学副学長(学生担当)法学部法律学科 教授 早川 和宏、東洋大学副学長(教育担当) 国際観光学部国際観光学科 教授 東海林 克彦

学長×副学長鼎談

東洋大学の
新型コロナ対策について。

2020年、春学期開始直前から新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が
発出され、以来今日まで、本学も様々な対応、対策を行っています。
その内容について学長と副学長からご報告します。

学長×副学長鼎談の様子

学びを止めない。
誰一人取り残さない。
そして、学生と教職員の
安全を守りぬく。

矢口
2020年の2月、新型コロナウイルス感染症への対策が必要となり、まだ学長就任前でしたが、前学長の竹村先生とともに準備を始めました。当時からこの状況は簡単に収まらず、全学として長く対処していく必要があると感じ、全学を貫いた速やかな検討の場として、4月に「新型コロナウイルス感染症対策委員会」を立ち上げました。
その中で、1:学びを止めない、2:誰一人取り残さない、3:正しく恐れて学生と教職員の安全を守る、の三つの基本方針をいち早く確立し、そのスタンスは現在も変わっていません。
東海林
2020年度の春学期はまさに未曾有の体験でした。ウイルスの正体が不明な中で、授業開始時期をいつにするのか。開始したとしても授業をどうするのか。そのための準備に何が必要で、どのような授業なら大学らしい授業になるのか。早急にガイドラインをつくり、運営する必要がありました。
そんな中、どうにか春の授業を一定水準で開始できたのは、教員の努力と、それを支える各事務局のサポート体制のおかげ。まさに春学期は“教職協働”の一致体制で乗り切ったと言えます。
早川
学生の生活・健康を管理する私たちの現場もドタバタだったのが正直なところです。学校に来なくても学生生活は続いていて、学費も発生しています。学生がオンライン機材を揃える必要もあり、それらの早期支援として学生全員に5万円の特別修学支援金を給付しました。前例がなく大変でしたが、職員約100人でチームをつくり、対応しました。学費未納による退学者を出さぬよう法人と相談して納入期限も延長。退学者数は例年と大差ありません。とはいえ、状況は刻々と変化します。家計急変で経済的に困っている学生を支援するために本学独自の給付型特別奨学金を創設して、学生を取り残さない体制を整えています。
矢口
特別奨学金の原資は、卒業生の皆様からのご寄付。前年度と比較して4倍近いご寄付をいただいているとうかがっています。本当に感謝しています。ありがとうございました。
早川
就職については、企業の対面面接がなくなり、学生に「どうすればいいのか」という不安が広がりました。就職・キャリア支援室では、オンラインを活用した相談や面接練習を完全予約制にて対応しています。今回航空業界や観光関係の求人が減少し、志望学生の気持ちが心配でしたが、就職率自体は比較的順調に推移しています。
他にも生活に困る学生には、「Hands to Hands」と題して、物資や食料品、お米などを配布。全キャンパスで実施した例は過去になく、大きな実績となりました。
東海林
支援を受けた学生が一言コメントを社会貢献センターに寄せてくれているのですが、一つひとつに感謝の言葉が並んでいて、胸を打たれるものがあります。

コロナ禍の経験を、
新しい学びのカタチへ。
次の東洋大学が
生まれようとしています。

矢口
今回のコロナ禍の対策を講じる中で「オール東洋」という言葉が何度も何度も出ました。「困っている学生はいないか?」を合言葉に、学びの継続という目的に向かって、厳しい状況下で頑張った経験は大きな財産。当初「大学は学生を中に入れず、閉じている」という報道が多くありましたが、そうではありません。いつでも学生が戻ってこられるよう、施設を維持し、授業を同時配信できるように整備しました。また、教室の全席に白山だけでも24,000枚の異なるQRコードを貼り、学生の行動履歴を把握できるようにしています。秋学期から対面授業が再開し、登校した多くの学生が、大学の活動を知り感謝を伝えてくれています。そして学生自身が大学を応援し、互いに支え合う気風が生まれてきています。大学の中心でありながら、自らも一員として動く。本当の意味でのオール東洋が見えてきた中で、新たな年度を迎えられたことを私は財産だと思います。
早川
私から卒業生の皆様にお伝えしておきたいのは、クラブ・サークルで活躍している学生についてです。今回のコロナ禍では、他大学よりもかなり厳しく規制していたため、満足に練習できない状態が続きました。それでもしっかりと結果を残してくれています。箱根駅伝は総合3位。本当にうれしかったです。成績が悪かったら活動を制限した自分のせいだと思っていました。逆境の中でも自律心をもって結果を出した後輩たちを誇りに思っていただきたいと思います。
矢口
本学には、オリンピック・パラリンピックを目指している現役生、卒業生が多数います。その選手たちも厳しい規則の中で練習に取り組んできました。そんな困難な状況下でオリンピック・パラリンピックに内定した選手が10名以上おり、大きな結果を勝ち取っている。すばらしいことだと思います。
東海林
“災い転じて福となす”という言葉もあるように、コロナ禍でオンラインを活用した非対面授業にも効果的な要素が多くあり、大学教育を根底から考え直すためのヒントを得ました。とはいえ、対面で得られる学生と学生、学生と教員の触れ合いから暗黙知、実践知を得ることも大切。そんな考えのもと、現在学長とともにDX(デジタルトランスフォーメーション)計画を進めつつあります。
矢口
本学は文部科学省によるDXの推進校に、この3月採択されました。これはICT(情報通信技術)の活用により効果的な教育を行い、“より本質的なこと”に時間を割くための取り組みです。そして、学生一人ひとりが、学びの道筋にきっちりと向き合えるようにすることです。ICTで断捨離できるところは積極的に行い、私たちは“生身の人間”としてできることを大切に、約3万人の豊かな学びを支えたいと考えています。卒業生の皆様は楽しみにしていてください。
コロナ禍における東洋大学の主な動き2020年1月〜2021年4月

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