水工学研究室
水工学研究室
総合テーマ:河川生態を考慮した安心・安全な川づくり
河川において、「多自然川づくり」,「自然再生」,「水質改善」,等々、よく耳にするかと思います。近年では、洪水の多発に対して、また、地震に対しての河川整備が急務となっています。自然の外力(洪水・地震等)に対して、人々が安心・安全に生活を行えるための整備が求められています。洪水対策・堤防の耐震化を実施する一方で、自然環境の保全も重要です。自然を保全することで、河川生態に対しても安心・安全な川づくりといえます。本研究室では、河川に安全に水を流すことと,河川生態・河川環境の保全等を考慮し,人間と自然が共生できるより良い川づくりを目指しています。
対策を実施する際に,河川生態・河川環境を視野に入れる
洪 水 対 策 ・・・河川に計画よりも上回る水量が流れることが多くなってきています(超過洪水と言います)。そのため、河川中に繁茂している樹木の伐採や、河川中に重機を入れ、川底を掘るなどの対策があります。
堤防の耐震化・・・3.11の東北地方太平洋沖地震では、河川堤防の沈下や損傷、護岸の破壊等、大きな被害を受けました。そのため、緊急工事の他、堤防や周辺住宅の高さ関係、津波の影響等をチェックし、対策を講じています。
テーマ例:河川中の樹木や植生が流れや生態系に及ぼす影響について
地球温暖化による気候変動の影響により、降雨量が増大傾向にあり、洪水が多発しています。そのなかで、特に河川中に繁茂している樹木は、流水の阻害となるため、洪水時には氾濫しやすくなる可能性があります。そのため、樹木の伐採等を実施し、樹木管理を行いますが、樹木が鳥類や哺乳類の住み家となっている場合が多いといえます。
樹木は洪水にとっては悪い影響を与える一方で、動物などには,なくてもならないものです。また、河川中に樹木があることにより、河川景観の向上にも繋がっているといえます。
本研究では、洪水に強く、河川生態や河川景観を考慮した樹木の管理手法・形態を現地調査や模型実験等からアプローチします。
模擬樹木群がある場の流れ |
模擬樹木群が流れに及ぼす |
模擬樹木群が流れに及ぼす 影響を測定 |
テーマ例:魚道の流れと魚の行動について
魚道は,堰やダム等の河川横断構造物がある場合に,魚類や甲殻類の遡上・降下を助けるために設けられます.魚道は,①プールタイプ,②ストリームタイプ,③オペレーションタイプに大きく分類されます.このなかで,③は人為的な操作が必要な魚道です.①では階段式魚道が古くから用いられてきており,最も多く存在すると言われています.また,②では粗石魚道が景観の調和等も考慮され,新たに提案されています.本研究室では,「階段式魚道」と「粗石魚道」に着目し,魚がよりスムーズに遡上できるような方策を考えるために,実験や現地調査を行っています.
青木 宗之 准教授
専門分野: 水理学,河川工学,環境水理学,等
Key Word: 魚道,魚類行動,河川生態系,流体力,水制,円柱群
担当科目: 水理学,水理学実験,コンピュータプログラミング,物理学,他
・東洋大学 工学部 環境建設学科(現:理工学部 都市環境デザイン学科)に進学後,東洋大学大学院(修士・博士)へ
・博士(工学)を取得後,建設コンサルタントにて河川計画業務に従事
・東洋大学 講師として着任し,現在に至る