MENUCLOSE

田中 一隆

〈新入生へのメッセージ〉

 「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という諺(米沢藩主、上杉鷹山作)が好きです。この諺の趣旨を少し抽象的な言葉で言い換えてみると、「人間の主体性」ということになります。さらにこれは、何事も他人任せにしない姿勢の強度も暗示しています。「為そう」としても結果として「成らぬ」ことはたくさんあります。しかしそのような状況にあっても、何かを「為そう」とする「主体性」や「姿勢の強度」は失わないようにしたいものです。皆さんの「主体性」や「何かを為そうとする姿勢」にできる限り応えることが私の使命だと思っています。

 専門分野は、イギリスの劇作家・詩人ウィリアム・シェイクスピアを中心とする「英国ルネサンス演劇」です。シェイクスピアの作品は、世界中で現在でも盛んに上演されていますし、映画化もされています。シェイクスピアに関すること、英語文学・文化に関することならどのようなことでもご相談ください。

 

〈教育と研究〉

 専門分野は「英文学」です。現在は、シェイクスピアを中心とする「英国ルネサンス演劇」を観客論的な観点から研究しています。教育の目標は、基礎的な、しかしゆるぎない英語の読解力(文法、構文把握力、語彙等を含む)と作文力(日本語の構成力も含む)を身につけることを基礎として、英語文学を中心とする西欧の知的遺産について深い洞察力と幅広い知識を養うことです。授業は、シェイクスピアの作品を、文献学的な観点を含めて精読すること中心に展開しています。シェイクスピアの作品をしっかり読むことで、英語のみならず日本語の語彙力、読解力、作文力を強化しながら、卒業研究の基礎を固めます。

 新入生のみなさんに望むことは、二つです。まず、知的な好奇心を持って積極的に世界と対峙してほしい、ということです。「世界と対峙」というのは少し大げさな表現のように響くかも知れませんが、「文学」が描く世界は、人間を含む世界全体という広大な領域に渡っています。「世界と対峙する」とはつまり、人間に関するあらゆる問題に対してはじめから自分には関係のない問題と決めつけたりしない、知的誠実の態度を養うことでもあります。二つ目は、知的好奇心を実りあるものにするための武器を手にしてほしい、ということです。みなさんの専攻は「英米文学」や「英語学」ですから、まず「英語」という武器をしっかり身につけ、活かしてほしいということです。そのためには、常日頃から英語を読む、書く、聞く、話す努力を惜しまず、精進してほしいと思います。みなさんの大学4年間が実り多い時間となることを願っています。

 

〈自己紹介コラム〉

 出身大学院は、筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科です。代表的な業績には、『シェイクスピア―世紀を超えて』(共著、日本シェイクスピア協会編、研究社)、『文学の文化研究』(共著、研究社)、『言葉の絆―藤原保明博士還暦記念論文集』(共著、開拓社)、『シェイクスピア時代の演劇世界』(共編著、九州大学出版会)、『エリザベス朝演劇事典』(共著、みすず書房、近刊予定)、『読みの快楽―イデオロギーの時代における』(共訳、ロバート・オールター著、法政大学出版局)、『重大な疑問―懐疑的省察録』(共訳、エルウィン・シャルガフ著、法政大学出版局)等があります。第10回「福原賞」(日本芸術院会員・文化功労者であった東京文理科大学教授故福原麟太郎博士の功績に因む)、「東北英文学会賞」受賞。テネシー大学マーティン校客員教授(イギリス・ルネサンス演劇担当)。

 

〈関連サイト〉

研究者総覧(researchmap):https://researchmap.jp/read0167759

動画で見る「Web体験授業」:https://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20160614_02.html

 

新入生のための推薦書〉

書名:『オックスフォード英語辞典』(Oxford English Dictionary

編集者名:『オックスフォード英語辞典』編集委員会

出版社:オックスフォード大学出版局(Oxford University Press

推薦理由:みなさんが高校まで使っていた辞書とはまったく違ったコンセプトに基づいて作られた辞書です。英語を学ぶみなさんには、一度は手にとって(と言っても、現在では書籍の形で存在する辞書ではありませんが)「読んで」(「引く」辞書ではありません)ほしいと思います。英語文学を構成する単位としての「英語」という「ことば」の成り立ちについて、根本から教えてくれます。英和辞典ではありませんので、英語で読むことになります。