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大田 悦子

〈新入生へのメッセージ〉

こんにちは。皆さんの大学での「英語」の学びについて、外国語(英語)習得研究の知見から得られる「英語力を向上させるためのヒント」をいくつかご紹介します。

 

英語力を向上させるためのキーワード

① 繰り返し

② 達成感

③ アウトプット

④ 具体的な目標

 

① 単語にしてもフレーズにしても、1回で覚えるのは至難の業です。時には、強烈なインパクトと共に1回で記憶に残る場合がありますが、1回見聞きしただけでその後しばらく出会わなければ、忘れてしまうのが普通です。例えば、海外留学のため英語圏で生活する場合、対象言語(英語)に常時触れる環境に身を置きます。つまり、一度触れた語にまたすぐに出会うチャンスがあります。でも、日本のように、教室外だと英語を見聞きする場面が常にあるわけではない環境では、その語に繰り返し出会うシチュエーションを自分で作るしかありません。意図的に「繰り返す」必要があるのです。反復練習は、時に退屈で面倒くさいものですが、やはりそれなしでは外国語の上達は期待できないでしょう。

 

② 英語学習はスポーツに似ていると思います。①で述べた通り、地道で継続的な稽古が不可欠だからです。陸上競技で例えるならば「マラソン」でしょうか。スタートダッシュが勝敗を左右する短距離走というより、要所で加速しつつ安定した走りを長時間続ける、そういう人が最終的に勝利する長距離走に、英語学習は似ています。では、自分の学習を長続きさせるためには?それには、努力が実を結んだ!と思える瞬間をたくさん持つ(=「達成感」や「成就感」を味わう)ことです。その経験が自信や「もっとがんばろう」という意欲につながります。資格試験や検定試験を定期的に受け、自分の英語力の伸びを可視化する、英語を話す(書く)相手を見つけ、言いたいことを伝える楽しさや目的を実感する、インターネットで海外の友達とメールやSNSでやり取りする、今なら色んな選択肢がありますね。

 

③ 高校までの自分の英語学習法を振り返ってみましょう。ことばにはReading, Listening, Writing, Speakingという4つの側面がありますが、これらをバランスよく鍛えていましたか?もしReadingやListeningがメインだったとすると、ややインプットに偏った学習だったかもしれません。もちろんReadingやListeningは大切です。英語が周りにあふれているわけではない環境で英語を勉強する日本人にとって、意識して多くの英語に触れること(=インプット)は何よりも重要です。ただし、それだけだと実は不十分なのです。読んだり聞いたりして理解した英語を、そのあと書いたり話したりして「使ってみる」(=アウトプット)のも同じように大切。使ってみることで、自分が本当に分かっているのかどうかを確かめることができます。

 

④ 皆さんは、なぜこの大学をそしてこの学科を選んだのでしょう?様々な理由があるはずです。その理由があったから受験勉強も頑張れたと思います。同様に、これからの英語学習にも「理由」が必要です。少なくとも日本で生活する限りは、英語ができなくても生活に困ることもなければ、就職で圧倒的に不利になるなんてこともありません。そういうプレッシャーがないこと自体はラッキーなのですが、それに代わる新たな動機づけが必要です。例えば、将来英語を使う職に就きたい、英語を使って外国の人々とやり取りしたい、在学中に留学したい、英語で書かれた文学作品を原書で読みたい、色んな国を旅して回りたい・・・どんな理由でも目的でもいいと思います。「○○ができるようになる(をする)ために英語をがんばる!」、そういった自分なりの「具体的な目標」を持つ人は、必ず前進します!

 

〈自己紹介コラム〉

専門分野:学校英語教育学、外国語習得研究

最近の業績:『高校英語授業における文法指導を考える :「文法」を「教える」とは?』(共著、アルク、2020年)、『高校生は中学英語を使いこなせるか?基礎定着調査で見えた高校生の英語力』(共著、アルク、2017年)、『高校英語教育を整理する!教育現場における22のギャップ』(共著、アルク、2014年)、ほか。

研究テーマ:

・英作文に見る高校生の文法発達

・中高検定教科書難易度と学習者の英語力との関係

・英語学習におけるリピーティング、シャドーイングの効果

 

 〈関連サイト〉

研究者総覧(researchmap):https://researchmap.jp/g0000211091

動画で見る「Web体験授業」:https://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20180523_04.html

 

〈新入生のための推薦書〉

書名:『「達人」の英語学習法 データが語る効果的な外国語習得法とは』

著者: 竹内理

出版社: 草思社

推薦理由: 英語学習の成功者たちが共通して行った学習法を知ることで、今後の英語学習の大きなヒントになると思います。

 

書名:『なんのために学ぶのか』

著者: 池上彰

出版社:SBクリエイティブ

推薦理由:解説者としてTVやメディアでお馴染みの著者が大学生(特に新入生)へ向けて書いたメッセージです。大学で学ぶ意味や意義を考えるきっかけとなる1冊です。