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北原 妙子

〈新入生へのメッセージ〉

 私が大学生のとき、卒論で取り上げた作品はSF小説でした。当時、使っていたアメリカ文学史のテキストには、この作家は載っていませんでした。どうして彼の名前がないのか?誰が文学史で重要なのか?どのジャンルなら文学史に残るのか?作品を社会・文化・歴史的な文脈で捉えるだけではなく、こうした文学史のつくられ方にも興味を持ったことが、今日の私の研究の原点になっています。

 大学時代は自分探しをする絶好の機会です。皆さんも、自分の興味あることや好きなことを追求し、まだ見出されていない才能や適性を探り当ててください。それから高校までのように暗記して答えるだけではなく、自分の頭で考え、正解のない問いに自分なりの答えを出せるようになることを目指してください。今何が問題になっているか、問いを立てられることも重要です。授業以外にも、本や新聞を読む、映画を見る、音楽を聴く、いろいろな人々と話をして世界をひろげる、等のことが後に大きな財産となります。

 英米文学科では英語力は必須です。英語はこれまでの既習科目ということで安心感があるかもしれませんが、英語による原著や研究書を読破できるようになるには、相当な努力が必要です。現状の英語力に甘んじず、常に上を目指す意欲を忘れないでください。同時に自分の考えを表現するための日本語力にも磨きをかけましょう。漠然と考えていることは、他人には容易に伝わりません。言葉で表す、簡単なようでいてなかなか難しいのです。SNSで用いられるような短く、手軽なものではない、日本語らしい文章も書けるように、日記でも手紙でもよいので文章を書く機会を増やしてください。

 そして、分からないことがあれば、積極的に教員に声をかけてください。私たちは皆さんの手助けをするためにおります。実りある四年間になりますように。

 

<自己紹介コラム>

専門分野:アメリカ文学・文化

主な業績:

ヘンリー・ジェイムズとイタリア西洋におけるエキゾティック表象」国民国家(ネイション=ステイト)と文学─植民地主義(コロニアリズム)からグローバリゼーションまで』(共著、作品社)

実人生とフィクション―彫刻家トーマス・クロフォードと『ロデリック・ハドスン』―」

『ヘンリー・ジェイムズ、いま歿後百年記念論集』(共著、英宝社)

“Framing the Supernatural: Henry James and F. Marion Crawford,” The Japanese Journal of American Studies No.17

『20世紀英語文学事典』(分担執筆、研究社)

「密林の野獣」『ゲイ短編小説集』(翻訳、平凡社ライブラリー)

研究テーマ:アメリカ近代散文を中心とした、文学史見直しや大衆小説、大衆文化(特に映画)の研究

 

〈関連サイト〉

研究者総覧(researchmap):https://researchmap.jp/james-crawford

動画で見る「Web体験授業」:https://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20170921_02.html

 

新入生のための推薦書〉

書名:『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』

著者名:遥洋子

出版社:ちくま文庫

推薦理由:『おひとりさまの老後』でよく知られる社会学者、上野千鶴子氏に、女性学を学ぼうとタレントの遥洋子氏が弟子入りした体験記。長らくベストセラー入りしただけあり、楽しみながら読める上、塾などで鍛えられたわけではない学問的な素人が、どうやって東大生の中でサバイヴしたか、率直に語られる。勉強のやり方をいかに身につけるかのヒントが満載。

 

書名:『英会話不要論』

著者名:行方昭夫

出版社:文春新書

推薦理由:サマセット・モームやヘンリー・ジェイムズなどの翻訳の第一人者が、日本人に合った英語学習法を多角的に提案する。あの流麗な日本語訳がどのように生まれるかの秘密も垣間見ることが出来る。ほかにも帰国子女イコール英語達人とはいかない理由や、英語学習に興味のある方には示唆深い指摘が多い。夏目漱石が英国で英語を苦労して習得するエピソードは特に感動的。