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古田 直肇

〈新入生へのメッセージ〉

 英米文学科に入学したのですから、大学生活の4年間で「英語のプロ」になることを目指しましょう。では、何をもってプロフェッショナルと言うのか。英語を専門としない一般人とは「質」の違う英語力を有していることが必要不可欠でしょう。

 「質」の違いをもたらすものは、一にも二にも、勉強の「量」です。端的に言って、4年間で読んだ英語の本を積み重ねたとき、自分の背丈と同じくらいにならなければいけません。中学・高校で皆さんが使っていた英語の教科書は、普通の本と同じ体裁で組み直せば、その量は80頁程度だと言われています。「中高6年間英語を勉強したのに、全然英語ができない」という不平を言っている日本人を時折見かけますが、80頁読んだだけで身につく英語など、ありません。まずは1000頁突破を目指しましょう!

 あえて汚い言葉を使えば、「クソ勉強」をしよう、ということです。清々しいバカになりましょう。敢然と決意して「勉強の鬼」になるのです。役に立つとか立たないとか、そういう小賢しい区別を止めて、とにかく自分が面白いと思う題材(英文学でも英語学でも、あるいは、それ以外の分野でも何でもよい)を見つけて、自分が楽しいと感じられる勉強に熱中するのです。それこそ寝食を忘れるくらいに没頭しましょう。そうして、思わず眩暈がするほどの「量」を乗り越えた先にしか、「質」の異なる英語力は訪れません。

 英語力だけの話ではありません。大げさな話をすれば、人生を楽しめるか、楽しめないかは、この没頭力にかかっているとさえ、私は思います。逆に、どれだけ頭が良くても、何に対しても功利的な判断でしか動けない人間は、つまらない日々を送ることになるのではないでしょうか。未来のことなんて考えても、予想なんか外れるに決まっています。今したいと思える修練に我を忘れて陶然と浸るのは、心震えるほど「カッコいい」生き様だと私は思います。

 こうして没頭することのもう一つの利点は、人間の心の中に巣食うネガティブ・モンスターを追い払うことができることです。どれだけ立派な理屈を頭の中で構築したところで、そんなものではネガティブ・モンスターは倒せません。むしろ理屈をこね回すことは、ネガティブ・モンスターに格好の餌を与えることにもなりかねません。今この瞬間にひたむきになること以外に、ネガティブ・モンスターに立ち向かう術はないのです。

 皆さんには没頭する力があります。もし皆さんが勉強に没頭するための手助けが少しでもできれば、教員としてこれに勝る幸せはありません。授業で会うことを楽しみにしています。

 

〈自己紹介コラム〉

専門分野:英語史・英文法
主な著作物:
『英文法は役に立つ!英語をもっと深く知りたい人のために』(春風社)
「第二言語習得研究の示唆する英語史の教育的価値」、家入葉子編『これからの英語教育:英語史研究との対話』(大阪洋書)
「受験英語擁護論:5文型の教育的妥当性について」(『アステリスク』第23号)
研究テーマ:英文法と英語教育

 

〈関連サイト〉

研究者総覧(researchmap): https://researchmap.jp/naotoshifuruta

動画で見る「Web体験授業」:http://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20190807_01.html

 

〈新入生のための推薦書〉

書名:『この世で一番大事な「カネ」の話』
著者名:西原理恵子
出版社:角川文庫
推薦理由:タイトルはえげつないものですが、内容は深いです。「絶望からの再生」を描いているという点では、ナチス収容所からの生還を描いた、フランクルの名著『夜と霧』の現代版と言えます。「知識」ではなく、人生を生き抜くための「知恵」を得ることができます。

書名:『ナナメの夕暮れ』
著者名:若林正恭
出版社:文藝春秋
推薦理由:ものごとを斜に構えて見る癖がついてしまっている人に、ぜひ読んでほしい一冊です。「今」を台無しにしてしまう冷笑主義者に未来はありません。自分は舞台に上がらないのに、リングに上がって奮闘している人に野次を飛ばすだけの人にはならないでください。ちなみに、著者であるオードリーの若林さんは、東洋大の卒業生です。

書名:『20歳のときに知っておきたかったこと』
著者名:ティナ・シーリグ(高遠裕子訳)
出版社:阪急コミュニケーションズ
推薦理由:スタンフォード大学で行われた「起業家コース」の集中講義をまとめたものです。題名の通り、「20歳のときに知っておきたかった」ことが満載なので、大学生の皆さんにぜひ読んでほしい一冊です。