経営学部長からのメッセージ
「答えのない世界を生きていくために」
経営学部長
長島 広太
Nagashima Kota
2020年からのコロナ禍や2022年に発生したロシアのウクライナ侵攻といった世界規模の出来事は決して遠くにあることではなく、私たちの生活に密接に関係しているものです。そのような世界を生きていくにあたって、大学で何を学び、獲得し、それをどのように活かしていくかが、これからはますます重要となっていくことでしょう。
東洋大学は創立者井上円了先生が29歳で設立した「哲学館」がその前身です。創立者の建学の精神の一つとして「諸学の基礎は哲学にあり」ということばがあります。ここでいう哲学とは、哲学者の学説の研究ではなく、「考える力を育む」ことを指しています。最初に記したような経験したことのない困難に出合ったとき、考える力がなければ、適切に対処する方法を生み出すことができません。経営学部では「答えのない世界を生きていくため」に必要な、「考える力をもった人」を育てていきたいと思っています。
そのために、経営学部では多様な授業形態を用意しています。講義科目は基本的な原理や知識を効率的に獲得するために最も有用な方法です。そのなかで、事前事後の学修課題やディスカッションなどを通じて、考える時間を設けるようにしています。また、少人数の演習(ゼミ)では、問題の発見とその解決を導き出すための機会を重視しています。実際にビジネスモデルを作成したり、外部とコラボレーションする企画など、社会との接点を持つプログラムもあります。ICT・AI時代に対応できるよう、統計的な思考を鍛錬する科目も充実させています。
大学全体の国際交流プログラムに加え、学部独自の英語による専門教育や海外研修も用意しています。英語をはじめとする語学の重要性はもちろん、日本を海外に伝えることにも是非、力を注いでいただきたいと思います。国際的な視野を養い、コミュニケーション能力を高めることは、異なる考え方や文化を受け止め、協調する力に繋がっていくはずです。
そのほか、将来の進路として、希望の仕事に就くことができるようにキャリア形成の支援や資格取得のための勉強の機会を多数提供していることも特徴です。
経営学部での学びを通じて、経営学というビジネスに直結する実践的な知識を基盤に、資格などのスキル、国際的な視野、そして「考える力」を身につけたなら、卒業後には必ず、社会で活躍することができるはずです。
ただし、将来就くであろう仕事は、それがどのような仕事であっても、自分自身が生活するためや、自分が活躍することだけを目的とするものではありません。井上円了先生は「他者のために自己を磨く」、「活動のなかで奮闘する」ことの重要性を述べられました。人生のあらゆる側面において、自己を磨くことで、他者を輝かせるように、どのような活動でも実践的に奮闘し、社会の幸せにつながるように、という意味を持つものでしょう。自身の知識や行動をいまの時代、そして次世代に対して貢献する新たなイノベーションに繋げることができたら、「答えのない世界を生きていくため」の解を創造できるかも知れません。
東洋大学経営学部の教職員はこれらのことを意識して、「考える力」を持った豊かな学生を育成することに力を注いでいきたいと思っています。